からだの疲れ

疲れを知る

さまざまなストレスにさらされることが多い現代。ふだんの生活で疲れを感じやすくなっている人が増えているようです。病気というほどではないけれど、放っておけない”日常の疲れ”について考えてみましょう。

疲れを知る

疲れってなんだろう?

「あー、疲れた!」
一日の終わりに、こんな声をあげてしまうのは、どんなときですか?運動のあと肉体的に疲労を感じたときや、職場のストレスで精神的につらかったときなど、家に着いたとたん、思わず言ってしまうことはありますよね。
状況にもよりますが、さまざまな原因で起こる疲れはまた、人によって感じ方もさまざまです。

からだ全体にだるさを感じる疲れ、目・肩・腰・ひざなどの局所的な疲れ、さらには年齢による疲れや環境による疲れもあるように、疲れとは実に多種多様なものなのです。

疲れってなんだろう?

「疲れる」とは、いったいどういう状態?

一般的には、肉体的あるいは精神的に負担がかかり、からだの機能が一時的に低下している状態と考えられます。
一晩の睡眠や、2・3日の休息で回復できる場合はいいのですが、「休みたくても休めない」「心配事で眠れない」という日常が続き、肉体的・精神的な負荷をかけ続けると、ある日突然倒れてしまうことにもなりかねません。

つまり、「疲れ」とは、病気にならないように、心身の消耗を防ぐための、
からだが発するアラームとも言えるのです。

疲れのメカニズム

以前は、肉体的な疲れの原因は「乳酸がたまること」だといわれていました。
ですが、最近では、乳酸はどうやら疲れの「原因」ではなく、「結果」としてたまるものだということがわかってきています。

疲れの本当の原因は何なのでしょうか?

近年の研究では、疲れると全身の組織や血液中に「FF(Fatigue Factor)」というたんぱく質が増えることが発見され、この「FF」が疲労の原因物質であることがわかってきました。
徹夜をしたり、激しい運動をしたりすると、活性酸素が発生して細胞が傷つけられ、老廃物が出ます。
この老廃物が、疲労因子「FF」の発生を促し、発生した「FF」が脳に疲労シグナルを送ることで、私たちは疲れを感じると考えられています。

疲労因子「FF」と疲労回復因子「FR」

一方で、「FR(Fatigue Recovery Factor)」というたんぱく質も同時に存在し、疲労で傷ついた細胞の修復にはたらくため、疲労回復因子とされています。
「FR」は、疲労因子「FF」の増加に反応して増加します。
「FF」のほうが先に増えて疲労感を引き起こしますが、「FF」の増加に反応して「FR」が増えていくと、次第に「FF」よりも「FR」のほうが優位になり、疲労回復が進みます。

FF量とFR量の関連性

疲労因子「FF」と疲労回復因子「FR」

この「FR」は、軽い運動や十分な休息によって、より効率的に増えると考えられています。適度に休憩をとることが、疲労をひどくしない方法のひとつといえるでしょう。

休みたくても休めない現代人

ストレス社会といわれる現代、翌日にもち越すほどの疲れは、なかなか抜けずに蓄積されてしまいがちです。
一昔前と比べると、ライフスタイルが変化し、睡眠不足や食事の不規則といった生活習慣の乱れから、疲れがたまりやすくなっています。

休みたくても休めない現代人

たとえば、毎日の睡眠時間が短くて、疲労回復のために必要な休息時間が十分にとれないと、疲れはリセットできません。
すると、からだ全体の機能が低下しているところに無理をするため、疲れはどんどんたまってしまいます。

また、食事が不規則になり、栄養バランスが偏ると、エネルギー不足になって体力が低下し、疲れが蓄積し、それが食欲不振につながるとさらにエネルギー不足に…といった悪循環に陥ります。
こうした状態は、精神的な疲れが重なることによって、さらに悪化しやすくなると考えられています。

疲れはたまればたまるほど、回復するのが大変に。
その日の疲れはその日のうちに解消する、精神的な疲労は気分転換で吹き飛ばす、そんなちょっとした工夫が、日常生活では大切です。

疲れの質と量が変わってきている!

毎年の症状の変化をみると、「疲れやすい」「イライラしやすい、ストレスを感じる」という人の数は、あまり変化がみられません。

最近一年間での経験症状 推移(20~60代の男女に質問)

最近一年間での経験症状 推移(20~60代の男女に質問)

しかし、「疲れのひどさ」や「疲れの頻度」についての調査によると、7年くらい前と比べて「疲れがひどくなった」「ややひどくなった」という人の割合は合計で67.5%、「疲れを感じることが多くなった」「やや多くなった」という人の割合は合計で75.9%と、かなり多いことがわかります。

疲れの質(ひどさ・頻度)の変化 2005年頃との比較

7年くらい前(2005年頃)と比べた場合の疲れの質(ひどさ・頻度)は
どのように変化したか?(SA)

疲れの質(ひどさ・頻度)の変化 2005年頃との比較

このことから、現代では、疲れを感じる人の数が増えているというよりも、一人ひとりがかかえる疲れの質と量がいずれも悪化していると考えられます。
つまり、回復しにくい、蓄積した疲れを感じる人が多くなっているのです。

実はあなたも疲れている!?

動物は走り疲れると、安全のために休息をとりますが、人間の場合には、体内の警告を無視して限界以上の負担をかけ続けることがあるそうです。
こうした負荷の継続は、外から強制されている場合もありますが、なかには、自分の意志でがんばることを強いるタイプの人もいるとか。

睡眠や休息でも十分に回復していない状態で、からだに異常が出ているにもかかわらず、疲れに無自覚なままがんばり続けてしまうと、しまいには過労で倒れてしまう可能性もあります。これこそが危険な疲れ。
気力だけで毎日をなんとか乗り切っている状態が、何かのきっかけで破綻したときには、すでに深刻な病気につながっていることもあるのです。

実はあなたも疲れている!?

「十分に休んでも疲れがちゃんと回復していないのではないか?」
「からだ全体のだるさが、長い期間、続いているのではないか?」
このところ、ちょっとがんばり過ぎていると感じたら、からだの声に耳をすませてみてください。

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