更新日:2023.12.21

生理中はお風呂に入っても大丈夫?心地よく入浴する方法とは

生理中はお風呂に入ってもいいの?と考えたことがある人は多いでしょう。
「経血で湯船が汚れないか」「お風呂の雑菌で感染症を起こさないか」と不安になったり、
生理中のデリケートゾーンの洗い方や、温泉や銭湯でのマナーなどに疑問を持ったりと、気になることがたくさんありますよね。
この記事では、生理中にお風呂に入る際のポイントをお伝えし、心地よく入浴できる方法をご紹介します。

監 修

早田 輝子先生

早田 輝子先生

医学博士。女性ライフクリニック新宿院長。
クリニックでは女性の健康とライフデザインをサポート。患者様に合った最適な方法を提案している。日本医師会認定健康スポーツ医・循環器専門医・国際協力NGOジョイセフフレンドとしても活躍。1男1女の母。

生理中のお風呂は不安がいっぱい

生理中のお風呂は不安がいっぱい

「生理中にお湯につかると、腟から雑菌などが入って感染症を起こさないか不安」「浴槽の中に経血が流れ出て、汚してしまわないか心配」など、生理中にお風呂に入ることに不安を感じる人は意外に多いかもしれません。

でも、安心してください。生理中にお湯につかっても、腟からカラダに浴槽のお湯が入ることは基本的にありません。たとえ、浴槽のお湯の中に菌がいたとしても、よほど浴槽が汚い状態でなければ、通常の健康状態で炎症などを起こす可能性もほぼないでしょう。

また、お湯につかっている間は、水圧の関係で浴槽内に経血が流れ出ることもありません。ただし、お湯につかる前や後(浴槽に入るときや出るとき)には、経血が出てしまうことがあるかもしれません。お風呂から上がる前に周囲をチェックし、見つけたらそっと流しておきましょう。

実はメリットも多い、生理中のお風呂

不安を感じる人も多い生理中のお風呂ですが、実は悩みの解消に役立つことが多いのです。
例えば生理痛の緩和。お湯につかってカラダが温まると、骨盤内の血流も良くなり、生理痛を和らげる効果が期待できます。また、温まることでリラックス効果を得られ、落ち込んだ気持ちも上向きになるかもしれません。
無理をして入浴する必要はありませんが、体調に問題がなく、自宅のお風呂でゆっくりできるのならば、生理中もお湯につかってみるのがおすすめです。

生理のときにデリケートゾーンを洗ってもいい?

生理のときは経血が気になって、デリケートゾーンを洗うのは気が引ける…という人もいるのでは?実は、生理のときこそデリケートゾーンはしっかり洗って清潔にしておくことが大切です。

経血には、子宮や腟の細胞や粘膜が混じっています。それらが付着したままでは雑菌が繁殖する原因になります。雑菌が増えた結果、かゆみや炎症を引き起こすことがあるので要注意です。

特に、忙しくてナプキンを取り替える時間がなく、長時間同じナプキンを使っていると、経血がデリケートゾーンに付着している時間が長くなり、かぶれや炎症が生じやすくなります。そのため、生理中もデリケートゾーンはきれいに洗い、清潔にしておきましょう。

デリケートゾーンの洗い方

デリケートゾーンは手で洗うのがおすすめです。清潔な手で、前から後ろに向かって、指の腹でやさしく洗います。皮膚が重なってヒダになった部分も同様に、やさしく洗ってシャワーやお湯で流しましょう。
デリケートゾーン専用ソープを使ってもOKです。ただし、生理中は普段よりもソープの刺激を強く感じやすいかもしれません。刺激が強いと感じた場合は、シャワーやお湯だけで洗い、生理が終わったらソープを使うとよいでしょう。

湯船の温度や入浴時間のおすすめは?

湯船の温度や入浴時間のおすすめは?

お風呂のお湯は、ぬるすぎるとカラダが温まりませんし、熱すぎてものぼせてしまいます。生理が始まると基礎体温が一気に下がるので、その温度差で冷えを感じ、いつも以上にお湯の温度が気になるかもしれません。
おすすめは、40~41℃のお湯に10~15分ほど入ること。これでカラダがポカポカと温まるはずです。ただし、もちろん個人差があるので、「私には少し熱いな」「ぬるいかも」と感じたら、無理せず調節しましょう。

なお、湯船にお湯を張るのが面倒…という場合は、足だけをお湯につける「足浴」も効果的です。41~42℃くらいのお湯に15~20分、足をつけておくとカラダが温まってきます。

生理中も温泉に入ってもいいの?

「温泉旅行と生理がかぶってしまった!」という話もよく聞きます。生理中でも温泉に入っていいものか、心配になりますよね。
生理中に温泉に入ること自体は、問題ございません。最初にもお伝えしたように、お湯につかっている間は水圧によって経血が出ることがないので、浴槽内に経血が混じる心配もありません。
とはいえ、浴槽に出入りするときや洗い場では流れ出てしまうことがあります。その様子を見て、ほかの利用者が気にすることも考えられます。
経血の量が多く不安な場合は、後でご紹介するタンポンや月経カップを使ったり、温泉には入らずに部屋で入浴する、またはシャワーだけで済ますのが安心かもしれません。

生理中のサウナや岩盤浴は大丈夫?

生理中にサウナや岩盤浴に入ることも、基本的に問題はありません。
ただし、生理ではないときと同様、「体調に問題がない」状態であることが大前提です。めまいやふらつきを感じるなど不安があるときは、利用を避けましょう。

また、サウナや岩盤浴を利用する際は、経血漏れに気をつけてタンポンを使用するなど、ほかの利用者への配慮を忘れないようにしましょう。

なお、高温の空間であるサウナの中では、流れ出てしまった経血がより固まりやすく(経血の主成分はタンパク質であり、高温で固まる性質があるため)、床などに付着すると、きれいに取れないことがあるようです。そうしたことから生理中のサウナ利用を制限している施設もあります。利用時には、必ず施設のルールを確認しておきましょう。

生理中でもお風呂を楽しむために

生理中でも入浴を楽しむためのアイデアをご紹介します。

生理中でもお風呂を楽しむために

体調によってはシャワーだけにする

体調や気分によってはシャワーだけにしたほうが、安心できるかもしれません。
ただし、季節や気温の変化などで、シャワーだけではカラダが温まらなかったり、かえって冷えてしまうこともあるでしょう。冷えが気になる場合は、シャワーのほかに足浴を追加するのがおすすめです。お湯を張った洗面器や桶などに足を入れ、足浴をしたうえで、シャワーを浴びるとカラダが温まりやすいといわれています。
転倒に注意しつつ、必要に応じて足浴も利用し快適な入浴を楽しみましょう。

タンポンや月経カップを使う

経血の量が多く、流れ出るのが心配なときはタンポンや月経カップなど、腟内に挿入するタイプの生理用品を使うと、経血の流出を減少させることができます。場合によってはそれらを使用して、入浴するのもよいでしょう。

なお、タンポンを使用する場合は、お風呂から上がった後、なるべく早めにタンポンを抜くようにしましょう。長時間入れっぱなしにしてしまうと、黄色ブドウ球菌が繁殖して毒素が体内に入り込む、TSS(トキシックショック症候群)※を発症する可能性もあります。使用書を確認し、取り替え時間を参考に新しいものに替えるようにしましょう。

※TSS(トキシックショック症候群)…黄色ブドウ球菌または溶血連鎖球菌への感染にともない発生する病気のこと。主な症状は急激な高熱、血圧の低下、発疹、全身の激しい痛み、嘔吐と下痢、頭痛などで、進行すると多臓器不全で死に至ることもあります。1980年代の米国では、腟に挿入したタンポンが原因で黄色ブドウ球菌が腟内に増殖し、その菌が産生する外毒素によってショック状態となる生理中の若い女性患者が多発したという報告があります。

濃い色のタオルを使う

カラダを拭くタオルの色を工夫するのもおすすめです。白や薄い色のタオルに経血がついてしまうと気になってしまいますし、気分も下がりますよね。生理中のお風呂上がりには、経血がついても目立ちにくい、黒や紺などの濃い色のタオルを使うと、流れ出た経血を目立たないように拭いたり、カラダを覆ったりできるので安心です。

カラダを冷やさないよう温かい食べ物・飲み物を摂る

入浴前にあらかじめ温かい飲み物や食べ物を口にしておくと、カラダの冷えも防げるうえ、入浴時間を短く済ませることもできて一石二鳥です。
ハーブティーやホットミルクのように、カラダを温めることに加えてリラックス効果をもたらす飲み物を飲むと、ココロがほぐれて不安が和らぐ効果も期待できます。また、ショウガオールやジンゲロールといったカラダを温める作用を持つ成分を含むショウガや、根菜類とお肉などを含む鍋やスープなどを食べると、カラダがより温まりやすくなるでしょう。その日の気分や体調に合わせて工夫してみてください。

「生理痛を和らげるには?おすすめのツボ押しや飲み物など対処法をご紹介」

薬をのむ

入浴には、カラダを温めて血流を促す効果がありますが、血管が拡張して、かえって頭痛の原因となることもあります。少しでも痛みが出たら、無理をせず鎮痛薬をのむようにしましょう。
鎮痛薬の効果で生理痛が軽減されることで、ココロの不安が少なくなることも考えられます。上手に鎮痛薬を利用して、生理中を快適に過ごしましょう。

月経調整をする

温泉旅行やプールなどの予定がわかっているときは、前もってピルを使うことで生理をずらすことができます。重なる予定日の2か月ほど前なら低用量ピルで、2~3週間前なら中用量ピルで調整できます。
月経調整は、生理を早く終わらせる方法と後ろにずらす方法があります。ピルののみ始めは、人により体調が悪くなることもあるため、大事な予定のときは早めに婦人科に相談し、薬が問題なく服用できるかどうか確認するとよいでしょう。

生理中でもお風呂はOK、
無理のない範囲で楽しんで

生理中でもお風呂はOK、無理のない範囲で楽しんで

生理中でもお風呂にゆっくりつかることに問題はありません。
お湯の中では経血が流れ出ることもありませんし、浴槽のお湯を経由して腟炎が引き起こされることも基本的にはないため、安心して入浴してください。お風呂にはむしろ、お湯につかって温まることで血流が促され、リラックス効果が期待できたり、生理痛の緩和につながったりするメリットがあります。入浴は生理中の癒やしにぴったりです。

ただし、浴槽に出入りするときやカラダを洗っている間には経血が流れ出てしまうことがあり、気になる人もいるでしょう。
そのようなときは無理をせず、シャワーだけにするのもひとつの方法です。
場合によっては、タンポンや月経カップを使用して経血の流出を防ぐのもよいでしょう。

なお、血流が良くなり、血管が拡張することにより頭痛が生じた場合は、ガマンせずに鎮痛薬をのみましょう。

生理中でも、カラダやココロに無理のない範囲でお風呂を楽しんでください。

こちらの記事もおすすめです

生理痛専用薬
エルペインコーワ

第②類医薬品

<効能・効果>

生理痛(主に、軟便を伴う下腹部の痛みがある場合)

この医薬品は「使用上の注意」をよく読んでお使いください。
アレルギー体質の方は、必ず薬剤師、登録販売者にご相談ください。

Share