医学博士。女性ライフクリニック新宿院長。
クリニックでは女性の健康とライフデザインをサポート。患者様に合った最適な方法を提案している。日本医師会認定健康スポーツ医・循環器専門医・国際協力NGOジョイセフフレンドとしても活躍。1男1女の母。
その心身のモヤモヤ、 生理のせいかも。
生理中のカラダで 起こっていること
日によって、イライラしてしまうことや、眠さやだるさに悩んだことはありませんか?その不調はあなたのせいではありません。女性のカラダで起こっていることを正しく理解するために、医学博士の早田先生に聞いてみました。
女性ホルモンとは
女性特有のカラダつきやカラダのリズムを司るホルモンで、妊娠を可能にするという大切な働きをするもの。それだけでなく、気持ちを明るく安定させ、周囲と調和させるというメンタル面や、生活習慣病や骨粗鬆症、自己免疫疾患などの病気を防ぐという健康面にも大きく貢献してくれています。女性が健康で幸せな生活を送るための守り神のようなものなのです。
女性ホルモンとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の総称です。
この二つが1ヶ月の中で互いに関連しながら大きく変化していきます。それぞれの特徴を知って、この変化の波を上手に乗りこなしましょう。
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エストロゲン(卵胞ホルモン)
- 女性ホルモンの主役。心身をパワーアップさせ、妊娠しやすいカラダに整えます。代謝や活動性を上げたり、血管の弾力性を高めたりします。
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プロゲステロン(黄体ホルモン)
- 排卵後より分泌され始め、子宮内膜を柔らかくして妊娠を助けます。妊娠に備えて活動性を下げ、水分や糖分などをカラダに溜め込む働きをします。
月経周期のしくみ
卵胞から出されるエストロゲンは月経が終わった頃から分泌が増えだし、月経初日から約2週間でピークを迎え、それが引き金となって排卵が起こります。排卵した後の卵胞は黄体と呼ばれ、今度はここからプロゲステロンが出されますが、妊娠していない場合は10日ほどで分泌量が急激に下がり、それをきっかけに子宮内膜が剥がれて生理が起こります。妊娠するとプロゲステロンが出続け子宮内膜を保ち、妊娠を維持しますが、そうでない場合は厚い内膜が必要なくなるので経血として排出されるのです。
このように排卵のタイミングに合わせて赤ちゃんを育てるためのフカフカのベッド(子宮内膜)を毎月作り直しているサイクルのことを月経周期といいます。
2種類の女性ホルモンの分泌の変動
ホルモンが
基礎体温でチェック!
正常に働いているかは、基礎体温は女性の周期が順調に巡っているかがわかる大切な指標です。朝起きてすぐ、ベッド上で婦人体温計を使って測定します。活動し始めてしまうと正確な数値が測れなくなってしまうので注意しましょう。低温期と高温期の差が0.3〜0.5℃ほどある2相性ですと、上の図のように理想的にホルモンが変動していると考えられます。一方、はっきりとした傾向が見られない場合、きちんと排卵されていない可能性もあります。将来妊娠を希望するようであれば受診をおすすめします。
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生理期
- 女性ホルモンの分泌量がもっとも低く、低体温気味で、全身がだるくなりやすい時期です。月経痛などの症状が出ることもありますし、過多月経の場合は貧血になることもあります。ゆっくりカラダを休ませると良いでしょう。
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卵胞期前半
- 生理が終わり、心身ともにすっきりします。エストロゲンが増えてきて活力が湧いてきますし、新陳代謝も良くなるので新しいことやダイエットを始めるのに最適な時期です。
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卵胞期後半
- エストロゲンが高めに維持され、お肌の調子や気分が安定している時です。大きな決断をするのに良い時期です。ただ、排卵時に排卵痛が見られる方もいますので、その場合はあまり無理をしないほうが良いでしょう。
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黄体期
- プロゲステロンの働きで新陳代謝が悪くなるため、便秘、むくみ、肌荒れ、体重増加などがみられやすくなる時期です。また、気持ちが不安定になりやすく、わけもなくイライラしたり落ち込んだりすることもあります。このような症状を月経前症候群(PMS)と言います。症状には個人差がありますが、可能な限りバランスの良い食事や規則正しい生活、適度な運動を心がけ、ゆとりあるスケジュールで過ごしましょう。
女性のカラダやココロが
女性ホルモンの変動に よるものです。
ガマンせずに、 まずは向き合ってみましょう。