感染症対策と予防Q&A

感染症対策と予防Q&A

基本的なことから意外なことまで、
日常の疑問ににお答えします。

消毒について

手洗いってまだ必要なの?
手洗いすると手に残る病原体はどのくらい減少しますか?

手洗い前、手には病原体が約100万個も残存するといわれています。流水で15秒の手洗いの場合、約1万個(約1%)に減少します。石鹸で15秒~30秒のもみ洗い後に15秒すすぐと数百個にまで減少(約0.01%)し、「石鹸で15秒~30秒のもみ洗い後15秒すすぐ」を2回繰り返すと、残存する病原体は約数個にまで減少するといわれています(約0.0001%)。

手洗いは、今でも有効な感染予防法です。最低でも石鹸を用いて15秒~30秒もみ洗いをし、流水で15秒すすぎましょう。
※具体的な手の洗い方は厚生労働省のHPを参照ください。

>厚生労働省 正しい手の洗い方(PDF)

誰が触っているかわからないつり革とか手すりとか、公衆トイレや洗面所などもちょっと怖い。
どのくらい病原体が残っているのでしょうか?

つり革は定期的に消毒されていますが、それでも直前に触っていた人の病原体がどれくらい残存しているかはわかりません。

感染者に接触しなくても、つり革、エスカレーターなどの手すり、エレベーターなどのスイッチ、ドアノブ、紙幣や硬貨などを媒介して感染する可能性があります。

外から帰った後もずっとスマートフォンを触ってます。
手はよく洗っているけれど、スマートフォンは洗わなくて良いの?

新型コロナウイルスの場合は金属やガラス、プラスチックの上などでは長い時間活性を保ち、最長16日間ウイルスが残存していたといわれています。厚生労働省も手を洗うこと以外に、よく触るスマートフォンの表面を毎日清掃することが新型コロナウイルス感染拡大を防ぐには重要だとしています。

毎日一回は除菌シートで拭くのが良いでしょう。また、食事中にはスマートフォンを触らない事も効果的です。

肌が弱いのですが、
ノンアルコールの除菌シートでも感染予防効果はありますか?

アルコールだけではなく、ノンアルコールの除菌シートに使用されていることが多い塩化ベンザルコニウムにも強力な抗新型コロナウイルス効果があると経済産業省の調査で認められました。含まれている製剤をよく確認して使用するようにしましょう。

マスクについて

マスクの種類によって性能に違いはありますか?
マスクも種類が多すぎて迷ってしまいます。

最も効果が高いのは医療用のN95マスクですが、息苦しい場合には一般的に使用されている不織布マスクでも高い飛沫拡散防止効果があります。 不織布マスクはポリウレタンや布マスクより感染予防効果が高いことが知られています。

重要なことは正しくマスクを着用することです。鼻のところが緩んでいるとウイルス飛沫が侵入しますので、鼻の形に合わせて使用しましょう。

すれ違うときにマスクをしていない人を見かけます。
何か気をつけることはありますか?

令和5年3月13日からマスクの使用は個人の判断に任されるようになりました。

しかし、電車やバスなど混雑したところに行く場合、病院や高齢者施設などに訪問する場合などではマスクの着用が望ましいでしょう。また、高齢者やリスクの高い病気をお持ちの方には、社会みんなで守る意味でもマスクを着用して接しましょう。

買物をするとき

お店にはトングやお盆などが誰にでも使えるように置いてあるけれど、
そのまま使って大丈夫でしょうか?

大勢の人が触るトングなどでパンを取ったり、バイキングで取り分ける時には他人が直接使用した器具を共用することは避けたほうが良いでしょう。

未消毒のトングや野菜を触る際は直接手で触れずに、ビニール袋を手袋がわりにするか、ポリエチレン製かニトリル製の手袋を使うと良いでしょう。

食事をするとき

飲食店などではどのように食事するのが安心でしょうか?
座る位置や話し声が気になります。

長時間におよぶ飲食は短時間の食事に比べて、感染リスクが高まると言われています。 座り方は、真正面を避け、斜めか横に並列で座るとリスクは軽減されます。

また大人数、例えば5人以上の飲食では、大声になりやすい傾向があり、その結果飛沫が飛びやすくなりますので注意しましょう。

令和5年5月8日以降はこれまでの人数制限はなくなりますが、やはりリスクを避けておくのが賢明です。

換気に関して

換気が大事だと聞きますが、
外の空気を入れたら病原体が入ってきませんか?

新型コロナウイルスは、空気中では生存しにくいといわれています。外気ではウイルスは拡散され高倍率で薄められるため、数が減少します。外気をとりこむためにこまめな換気を心掛けましょう。

部屋の大きさと人数によって
感染リスクの高さを測る基準ってありますか?

部屋の大きさと人数の関係を示す適切な指標はありませんが、例えば10m四方の部屋では前後左右に2mの間隔をとることを考えると25人までが限界と考えられます。
これからも密になることは出来るだけ避けておくべきです。一般的にCO2(二酸化炭素)濃度1,000ppm以下が目安となります。

>厚生労働省 「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法(PDF)
>厚生労働省 冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法(PDF)

観光地や商店街に行きたいけど、
屋外での人込みはどのくらい感染リスクが高いのでしょうか?

新型コロナ感染予防の基本は、感染している人に近接しないことです。まずは対面での距離確保、換気(換気の良い建物を選ぶ)などに気をつけましょう。
この大原則を守っていれば新型コロナウイルスにかかるリスクは減らせると思います。
屋内に比べれば、屋外の感染リスクは低くなります。混雑した場所にどうしても行かなければならない場合は、遮断率の高いマスクを着用すること、手洗いを励行すること、不用意に物を触らないことを徹底すると良いでしょう。

その他

外から帰ってきたら、
手洗い・うがい以外にした方がいいことはありますか?

家に帰ったらまず手洗い・うがいを行いましょう。また、服を着替えたり、早めにお風呂でシャワーを浴びましょう。

顔面や鼻腔・口腔の周りに付着したウイルスなどの病原体を洗い流すことはとても効果的です。また、うがいで咽頭についた雑菌を取り除くことは、新型コロナウイルスのみならず、インフルエンザなどの様々な感染症の予防に繋がります。

監修者プロフィール

国士舘大学院 救急システム研究科 研究科長・教授 田中 秀治

国士舘大学院 救急システム研究科 研究科長・教授 田中 秀治

一般社団法人Heart Sever Japan(HSJ) 代表理事、国士舘大学 新型コロナ感染症対策本部 副本部長
Medic Japan メディカルディレクター 感染症コンサルタント
日本救急医学会評議員・指導医 日本臨床救急医学会理事 日本救護救急医学会理事 救急専門医 ICD制度協議会 前インフェクションコントロールドクター