もしも伝染病にかかってしまったら?

感染症に関する知識

もしも伝染病にかかってしまったら?

伝染力の高い感染症を拡散しないためには、
どうすれば良いでしょうか?

ここまで感染症とその予防方法について説明してきました。では、注意していても伝染病(多数の人が感染を受け、その感染がかなり広い地域に及び、しかも一定期間発生が続く感染症を「伝染病」と呼称します。)にかかってしまったらどうすれば良いでしょうか?
すぐに病院にいきますか?あるいは家で休養しますか?どのように対処すべきなのでしょうか??
今回は、伝染力の高い感染症として、新型コロナウイルスに感染してしまった場合を考えてみましょう。

新型コロナウイルスが伝染しやすいのはいつ?

新型コロナウイルスに感染してから発症する(症状が出る)までの時間は平均5〜6日といわれています。そして人にうつす力が強いのは、発症する前の1〜2日からといわれています。発症前、なんとなく体がだるいなと思っていると微熱がでて、病院を受診したら熱があり、実は新型コロナウイルス感染症であったということもよく聞く話です。しかもその周囲にいた人は熱などの症状が何も無いのに新型コロナ陽性となっていることもあります。自分が気付いていないときに他人に感染させてしまう力が強いところも、新型コロナの非常に怖いところです。そうなると、たとえ自覚症状のない人でも、すべての人が新型コロナに感染していると疑わなければなりません。これが新型コロナウイルスの怖くて難しいところで、それゆえに感染の自覚の有無に依らず不要不急の外出を控え、マスクや手洗いによる自己防御が重要な意味を持つことになるのです。

  • 新型コロナウィルス感染症の症状 新型コロナウィルス感染症の症状

軽症:新型コロナウイルス感染症のうち80%は中等症か軽症。微熱・倦怠感など自宅待機・隔離で症状は数日~1週間程度で軽快する。

中等症:8~15日目ぐらいから咳の悪化、咽頭痛、頭痛、熱が37.5℃以上になる。全身の強い倦怠感、呼吸が苦しい、息切れなど(1~2週の病院・隔離施設治療が必要)。

重症:発症10日ごろから高度の発熱(38.5℃以上)、呼吸が促迫、息苦しさ、意識がもうろうとなるなどの症状(呼吸器感染症治療を行う)60歳以上だと8%程度だが、60歳以下では0.3%と高齢者・糖尿病や高血圧の既往症の持つ人に多い。 

重篤:集中治療室での人工呼吸やECMOなどの治療が必要。

  • よくある症状

    ・発熱
    ・からぜき
    ・倦怠感

  • こんな症状も

    ・鼻詰まり
    ・喉の痛み、下痢(まれに)
    ・鼻水
    ・息切れ

  • ・約80%は特に治療を受けずに回復する
  • ・軽症は風邪やインフルエンザなどと似ている

感染したかも?と自分で気付けるようにしましょう

新型コロナウイルス感染時の症状は、テレビなどでよく報じられているような、症状が進行した重症時の呼吸困難や肺炎症状などをイメージしがちですが、実際には感染した人でも症状がない人も多く、また、発症しても最初の内はインフルエンザによく似た感冒症(鼻水、咳、咽頭痛、熱、筋肉痛や全身倦怠感)や、味覚障害・嗅覚障害、そして下痢・嘔吐などの消化器症状を呈します。
第3波以降は、40代の重症化率は30代の4倍、50代では10倍、さらに60代だと25倍と報告されており、60歳以上での重症化が感染拡大当初よりも顕著となってきています。これらのことからも、高齢者には特に感染させないような細心の注意が必要となります。
強い症状がある場合はもちろんのこと、軽症だからといって、食事や買い物、映画など人混みの中に出てしまうと、あっという間にクラスター感染の原因となり、周囲の人にうつしてしまう恐れがあるので避けるようにしましょう。

  • 新型コロナウィルス感染症の主な経路 新型コロナウィルス感染症の主な経路

新型コロナウイルス感染症なのか季節性感冒症などの他の疾患なのかを判断しましょう

以下に、感染してから検査までのポイントを示します。

  1. 新型コロナウイルス感染症かもと思った場合には、都道府県の相談窓口か、かかりつけ医に電話して、受診すべきかどうか相談をする。(保険診療が現在は可能ですので必ず保険証を持参しましょう)
  2. 2020年9月以降はかかりつけのクリニックや医院または病院で迅速にPCR検査での診断を受けることが可能になっています。検査は医師の判断が必要です。早ければ1時間、遅くても2日以内には結果が出ますので、それまでは保健所や医師の指示に従い家で静養し、外出を控えることが重要です。(駅前PCR等は自主検査ですので医師による判断ではありません。)
  3. 移動手段として、バス、電車などの公共交通機関はなるべく使わず、やむをえない場合には周囲の人と2メートル以上の距離をとると良いでしょう。
  4. 発熱のある間は外出を控えた上で毎日体温を測定し、いつごろから熱や症状が出たか、他の症状がいつ出たのかを記録しておきましょう。誰と接触したか、食事は誰としたか、どのくらいの熱が何日程度続いたかを正しく記録しておきましょう。

感染者が自宅で療養している際の注意点

新型コロナウイルスを含め、伝染力の高いウイルス・細菌に感染してしまった場合に特に気をつけることは、家族内感染を起こさない(同居している家族へ感染させない)ことです。可能であれば個室にし、なるべく部屋から出ないようにし、また、トイレ・シャワー・食事も別にして症状が消えるまで個室での管理を続けることが重要です。食事は個室内で食べ、食器などはドアの前に置き、直接感染者と会わないようにしましょう。家庭内でもマスクを外さず、消毒を徹底しましょう。
部屋を分けられなければ、2メートル以上の距離を保つか、カーテンなども活用して仕切りを作るのが良いでしょう。また換気を良くして風を通すようにしましょう。
家庭内でのソーシャルディスタンシングを解く目安の期間は、症状がなくなってから10日間としましょう。

洗濯や部屋の消毒はどうするの?

洗濯などに関しては、新型コロナウイルスの場合にはノロウイルスと違い、タオル、衣類、食器、箸・スプーンなどは、通常の洗濯や洗浄でよいでしょう(食洗器で洗うと熱湯消毒にもなります)。ただし、下痢など体液で汚れた衣服やタオル、シーツなどを扱う際は、手袋とマスクをつけ、まず80度の熱湯の中に10分以上漬けてから、一般的な家庭用洗剤で洗って完全に乾かすのが良いでしょう。
トイレ・洗面所はできるだけ共用しないようにします。やむを得ない場合にはコップ・タオルは別にしておきます。ドアノブやリモコン、照明スイッチ、玄関などなど家族みんなが触るところは、2日1~2回消毒をしましょう。60%以上の消毒用のアルコールで拭くか、家庭用塩素系漂白剤を水で薄めたもので拭いた後に水拭きをしてください。
介護が必要な人は、できれば複数の人が関わるのではなく、1人に限定すると良いでしょう。介護にあたる際にはマスク、手袋を着け、洗濯したエプロンをつけ、使用後に捨てる際はポリ袋に入れてしっかりと閉じておきましょう。介護をする人は、こまめに手を洗い、うがいを行い、自分の顔の粘膜(目、鼻、口)をむやみに触らないようにしましょう。体液や飛沫を浴びたらすべてを脱ぎ、新しいものに着替える周到さが必要です。

新型コロナウイルス感染症にかかってからの復帰は?

厚生労働省は、新型コロナ入院患者が退院する際の基準について、2020年6月までは、症状が出てから14日間が経過し、かつ、症状が軽減してから72時間過ぎていることを条件としていましたが、2020年9月以降はこの退院基準は4日間短縮され、症状が出てから10日間が経過すれば退院を認めることになりました。また症状がない感染者の退院基準も改定され、新たな基準として、感染を確認し、PCR検査の検体採取日から6日間が経過し24時間以上の間隔を空けて2回のPCR検査で連続陰性が確認できた場合も退院を認めています。もし病院に入院した際には症状が消えてから10日経過したか、PCR陰性となり4日以上経過したかのいずれかの場合でも、自宅待機療養となります。その後は概ね1週間程度の自宅療養期間を経て、体調の改善を見つつ徐々に仕事や学校へ復帰すると良いでしょう。
今回は、万が一感染してしまった場合のことを説明しましたが、重要なのはやはり感染しないように心掛けることです。
家庭内での感染の割合も大きくなって来ています。「家庭内でのソーシャルディスタンシング・3密を防ぐ・5つの小(小人数での食事・小一時間・小声で話す、小皿で食べる・小まめに換気と消毒)」を徹底することが肝要です。
下図に新しい生活様式の具体例を示します。これらを参考に、Withコロナの時代を生きていく知恵を身に着けましょう。

  • 「新しい生活様式」の具体例

    ・外出時は症状がなくてもマスクを着用
    ・人との間隔はできるだけ2メートル空ける
    ・手は石鹸で15秒、流水で15秒程度洗う
    ・帰省や旅行は控えめに
    ・誰とどこで会ったかをメモする
    ・買い物は通販や電子決済を活用 ・食事は横並びに座り、大皿を避ける
    ・冠婚葬祭などでは多人数で会食しない
    ・テレワークや時差出勤を継続
    ・仕事の会議や名刺交換はオンラインで

  • 企業活動を再開する際の対策

    ・施設の入り口と内部に手指の消毒設備を置く
    ・従業員のユニホームや衣服をこまめに洗濯
    ・複数の人が手を触れる場所は適宜消毒する
    ・休憩スペースは一度に利用する人を減らす
    ・トイレはふたを閉めて流すように表示

  • ・業種ごとにガイドラインを作成

監修者プロフィール

国士舘大学院 救急システム研究科 研究科長・教授 田中 秀治

国士舘大学院 救急システム研究科 研究科長・教授 田中 秀治

一般社団法人Heart Sever Japan(HSJ) 代表理事、国士舘大学 新型コロナ感染症対策本部 副本部長
Medic Japan メディカルディレクター 感染症コンサルタント
日本救急医学会評議員・指導医 日本臨床救急医学会理事 日本救護救急医学会理事 救急専門医 ICD制度協議会 前インフェクションコントロールドクター