感染症にかかりにくい体を作ろう!

感染症に関する知識

感染症にかかりにくい
体を作ろう!

感染症に対する2つの基本を守り
免疫力を強く保ちましょう。

感染症にかかりにくくなるためにはどうすれば良いのでしょうか? それにはまず、感染症に対する以下2つの基本を忠実に守ることです。
すなわち、

  1. 病原体を侵入させない
  2. 感染症にかかりにくい体を作る
です。

1:病原体を侵入させないこと

第一に、自分の体内への病原体の侵入をできるだけ防ぐことです。体内に入ってくる病原体の量を減らすために積極的な自己防衛をし、バリアとしての機能がある喉や鼻の粘膜の防御を図ることです。
そのために効果的なのが、以下のようなよく知られている基本的な感染対策方法なのです。

  • 「基本的な感染症対策」の具体例

    ・マスクをしっかり装着する。(食事の時もマスクを外す時間を極力最小限にする)
    ・ソーシャルディスタンシング
    ・手洗い(最低でも石鹸で15秒もみ洗いをし、流水で15秒)やアルコール(60%以上)などで手指消毒をする
    ・人ごみや感染の可能性のある場所には極力行かないようにする
    ・帰宅したら手の洗浄・うがい・シャワーなどを習慣づける

2:感染症にかかりにくい体を作ること

病原体(細菌やウイルス)が体内に入っただけでは感染は成立しないことを知っていますか?感染症とは「病原体が体内に侵入し、引き起こされる病気」ですが、身体に病原体が入ってきたら必ず感染が起こるわけではありません。喉にインフルエンザウイルスが入って来たとしてもインフルエンザの症状を示さない人もいますし、結核菌が入ってきてもすべての人が結核に罹患するわけではありません。感染症の病原体は蔓延しているのに感染症を発症しない人は大勢います。何故なのでしょうか?
ここでまず、感染症と生体防御システムについて簡単に説明しましょう。

ヒトの体には簡単には感染症を起こさせないように、自然免疫(非特異的免疫応答)と獲得免疫(特異的免疫応答)という2つの防御システムが備わっており、体内に侵入した病原体が組織に定着し炎症を起こさせないように、体の中を24時間パトロールしています。

感染に対する防御の第一段階は、自然免疫(非特異的免疫応答)が担当します。体内に病原体が侵入すると、すぐに異物として認識して排除にかかります。まず組織の血流を増加させ、兵隊の役割を担う白血球(好中球)やマクロファージなどの貪食細胞を炎症が起きている前線に大量に送り込みます。殺菌のためライソゾーム酵素や活性酸素などを用いて微生物を分解し、ナチュラルキラー(NK)細胞が感染した細胞を見つけ出して抑え込み、ファーストアタックの役割を果たします。

もしこれで防御できない場合は、続く第2段階の獲得免疫(特異的免疫応答)の出番です。こちらは、過去に体内に侵入した記録を持つ病原体を認識して、同じ病原体が侵入してきた時にブロックするという仕組みです。この免疫の記憶を担うのが「抗体」で免疫グロブリンという物質です。この抗体は攻撃にかかわる白血球を引き寄せ、さらに微生物を貪食するマクロファージやキラーT細胞が補体系を活性化し病原体を絶滅させるのです。
しかし、「抗体」は作られるまでに時間がかかり、感染症の勢いが強ければその間に発症してしまいます。従って免疫機能が低下している場合や、侵入してきた病原体の量が多い場合には対処し切れずに、感染が成立してしまうのです。

  • 自然免疫と獲得免疫 自然免疫と獲得免疫

では、病原体が侵入してきても感染症にかかりにくい体を作るために、これらの免疫力を強く保つためにはどうすれば良いのか?
実は免疫力は、ストレス・不眠・飢餓状態で低下してしまうことが分かっています。

そこで、

  • 適度な運動をすること
  • 良質な睡眠(十分な休息)をとること
  • ストレスをなくすことやよく笑うこと
  • バランスの取れた食事をとること
が重要になって来るのです。

1つずつ、詳しく見てみましょう。

適度な運動をしましょう。

適度な運動で全身の血流が増し、体温が1℃上がると、代謝は12〜13%アップ、NK細胞活性も上昇し、免疫力は大幅にアップするといわれています。
逆に体温が1℃下がると、組織の血流が停滞し、白血球の働きが低下し免疫力も大きく下がります。
一方で、激しい運動やトレーニングでは、血中NK細胞・T細胞の数や機能の低下、分泌型IgAの唾液濃度などが一過性に低下するばかりか、免疫抑制作用のあるストレスホルモンや抗炎症性サイトカインが分泌されます。
病原体に負けない体作りのためには、まずは「適度な運動」で体を温かく保つことから始めましょう。

良質な睡眠をとりましょう。

睡眠中は、自律神経を高める交感神経からリラックスする副交感神経へと切り替わります。人間は一定時間良い睡眠をとることで、心身ともにゆっくりと休むことができます。また副交感神経が働いているときにNK細胞は活性化することが知られています。
また、さまざまなストレスにより日中に発生した活性酸素を除去してくれるのが、睡眠中に放出される成長ホルモンやメラトニンです。活性酸素はある程度は消毒作用を発揮しますが、大量に出ると正常細胞を攻撃して免疫力を低下させてしまうのです。

リラックスしてよく笑いましょう。

昔から、笑う門には福来るといいます。笑うことによって、「神経ペプチド」と呼ばれるアミノ酸が体内で作られます。神経ペプチドは、血液中にめぐり、NK細胞の表面に付着し活性化します。ステイホームでも家族みんなで笑えるように会話をしたり、テレビを見たり、家庭内でのゲームなどをして楽しくすごしましょう。

バランスの取れた食事を心掛けましょう。

NK細胞をはじめとする免疫細胞の約70%は腸に集中しています。腸の健康こそが免疫細胞が働くためにはとても重要なので、腸を大切にしたバランスのよい食事を心がけましょう。
腸内環境をつねに良い状態にするためには、まず便秘にならないようにする事です。そして、NK細胞を活性化させる乳酸菌(ヨーグルトなど)、食物繊維や発酵食品(味噌汁、古漬け、ぬか漬)を積極的に取りましょう。大豆、ブロッコリー、舞茸、生姜なども免疫力向上に有効とされています。新型コロナウイルス感染に関しては、最近の論文によるデータで、ビタミンDをしっかりとることで感染予防や重症化抑制の効果が期待されます(舞茸などのキノコ類や、いわし・あじ等の青魚類など)。さらにビタミンDは日光を浴びることで活性化されますので、人の少ないところを散策するなどして、適度に日光浴をしましょう。

このように、適度な運動で体温を上げ、十分な睡眠・休息を取り、適切な食事をとり、リラックスした生活を送ることが、感染症にかかりにくくするためにはとても重要なのです!

監修者プロフィール

国士舘大学院 救急システム研究科 研究科長・教授 田中 秀治

国士舘大学院 救急システム研究科 研究科長・教授 田中 秀治

一般社団法人Heart Sever Japan(HSJ) 代表理事、国士舘大学 新型コロナ感染症対策本部 副本部長
Medic Japan メディカルディレクター 感染症コンサルタント
日本救急医学会評議員・指導医 日本臨床救急医学会理事 日本救護救急医学会理事 救急専門医 ICD制度協議会 前インフェクションコントロールドクター