更新日:2024.02.21

生理前・生理中に眠いのはなぜ?眠気の理由と対処法をご紹介

生理前はプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きにより体温が高い状態が続き、眠くなったりぼーっとしたりすることがあります。
また、生理中も女性ホルモンの変動により眠気が強くなりがちです。
この記事では、生理のリズムにともなっていつもより眠い状態が続いた際の対処法など、生理期間をより快適に過ごす方法をご紹介します。

監 修

早田 輝子先生

早田 輝子先生

医学博士。女性ライフクリニック新宿院長。
クリニックでは女性の健康とライフデザインをサポート。患者様に合った最適な方法を提案している。日本医師会認定健康スポーツ医・循環器専門医・国際協力NGOジョイセフフレンドとしても活躍。1男1女の母。

生理と眠気の関係

生理前~生理開始直後には、強い眠気を感じる人が一定数います。
なぜ生理前や生理中に眠気が強くなるのでしょうか。それは以下のような理由があるからだと考えられています。

生理前・生理中の眠気にはプロゲステロンが関係

生理前・生理中の眠気にはプロゲステロンが関係 生理前・生理中の眠気にはプロゲステロンが関係

出典:対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座の分類

生理前に眠気が強くなるのは、月経前症候群(PMS)の症状のひとつです。
PMSは、生理前に女性ホルモンの一種であるプロゲステロンが増加することによって引き起こされると考えられており、眠気やむくみ、イライラなど、さまざまな症状がカラダやココロに現れることをいいます。
PMSを引き起こすプロゲステロンには、「体温を上げる」という働きがあります。プロゲステロンは生理開始日の約14日後、排卵後から徐々に分泌量が増えはじめ、約10日間分泌されます。そのため、生理前は基礎体温が高くなる「高温期」となります。
高温期で基礎体温が高くなると、一日の中で体温のメリハリがなくなります。本来なら徐々に体温が下がって眠くなるはずの夜になっても高温の状態が続き、眠気が弱まって眠れなくなるなど、睡眠のリズムが乱れやすくなります。
こうした夜間の睡眠の乱れが日中の生活リズムにも影響を与え、昼間に眠気が強くなることがあるのです。この影響が生理開始直後まで続くため、生理前・生理中には眠気を感じやすくなるといわれています。

生理中は他にもこんな症状が

生理のときには、眠気の他にもさまざまな症状が現れます。
例えば、腹痛(下腹部痛)。生理のときには痛みのもととなるプロスタグランジンという物質が産生され、ズキズキした痛みが生じたり、子宮や腸管が過度に収縮することで、ぎゅ~っとねじれるような痛みが出たりします。
子宮が強く収縮する影響が腰側にも及ぶと、腰痛に悩むことも。
また、プロスタグランジンやその関連物質が血液にのって全身を巡ることで、痛みが子宮から離れた頭にも現れて頭痛が起きたり、吐き気や下痢といった症状が生じたりするのも、生理中によく見られます。

カラダの症状だけでなく、イライラしたりネガティブになったりなど、ココロのバランスが崩れることもあります。

生理で眠くなったときの対処法

生理前や生理中、眠くなったときには、できれば早めに布団に入って、ゆっくり休むのがおすすめです。
とはいえ、テストや大事な会議があって、そうはいかないこともあるでしょう。無理は禁物ですが、そんなときに試してほしい対処法をご紹介します。

簡単なストレッチをしてカラダを動かす

簡単なストレッチをしてカラダを動かす

適度な運動をすることで充足感や開放感、リフレッシュ効果が得られます。眠気覚ましにも役立つはずです。
肩の上げ下げ、上半身をひねる腰のストレッチ、両手を組んで上に伸ばす、首をまわすといった簡単なストレッチをしてカラダをほぐし、気分をリフレッシュしましょう。

仮眠をとる

昼休みに15分程度の仮眠をとると、午後の眠気が改善しやすくなることがわかっています。
生理前や生理中、どうしても眠気に勝てそうにない場合は、午後に向けて短時間のお昼寝をしてみるのもよいでしょう。

カフェインを摂る

カフェインの覚醒作用を利用するのもひとつの方法です。カフェインには神経を興奮させて体を活発化させる作用があります。例えばカフェインを多く含むコーヒーを飲むことで頭をスッキリさせたり、眠気を覚ましたりといった効果が期待できます。しかし、摂取し過ぎると健康を害することがあるので、注意が必要です。
特に、カフェインには鉄分、マグネシウム、カルシウムといった女性の健康維持に重要なミネラルの吸収を邪魔してしまう作用があります。ミネラルには筋肉を収縮させたり緩めたりして、生理痛を和らげる働きがあるといわれていますが、その吸収が妨げられることで、生理痛が強くなってしまうことが考えられます。
また、カフェインを摂ることでココロの不安が大きくなる人もいるので、摂り過ぎにはくれぐれも注意し、様子を見ながら少しずつ摂取しましょう。

ピルを活用する

低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが配合されています。
ピルをのむと体の外からホルモンが補給され、ホルモンバランスの変動も少なくなるので、生理前や生理中の眠気や諸症状の緩和にもつながると考えられます。
ピルを服用することで子宮内膜が薄くなって経血量も減ります。また、生理痛の原因にもなるプロスタグランジンの量が減るので生理痛も緩和されます。
現在では月経困難症の治療を目的とするピルが数種類、保険薬として承認されています。

自分のカラダの状態を把握して、ゆっくり過ごそう

自分のカラダの状態を把握して、ゆっくり過ごそう

生理前や生理中には、眠気など、さまざまな症状が現れやすくなります。
まずは、自分のカラダとココロに現れやすい症状を、できるだけ把握するよう努めましょう。そのうえで、症状に合わせた対策を行うことが大切です。できるだけゆっくり過ごして、体調を整えましょう。
眠気が強くなる人は、今回ご紹介した対処法も試しつつ、生理痛の症状があらわれた場合は眠気を誘う鎮静成分が入っていない市販の鎮痛薬を活用し、ツライ症状を緩和するのもよいでしょう。
なお、ガマンのしすぎは禁物です。生理のたびに強い眠気や不調を感じて日常生活に支障が出るような場合は、婦人科を受診し相談してみましょう。適切に医療機関を利用し、生理前・生理中も快適に過ごせるとよいですね。

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この医薬品は「使用上の注意」をよく読んでお使いください。
アレルギー体質の方は、必ず薬剤師、登録販売者にご相談ください。

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