更新日:2024.05.28

生理のときに下痢になりやすいのはなぜ?予防法とすぐできる対処法もご紹介

生理中の下痢は、生理に伴って起こる症状の一つです。
下腹部痛、腰痛、頭痛などとともに、生理のときに起こりやすい症状として知られています。
生理中に下痢になりやすいのはなぜなのでしょう。また、お薬で症状をおさえることはできるのでしょうか。
生理中の下痢の原因と予防法、対処法を詳しく解説します。

監 修

早田 輝子先生

早田 輝子先生

医学博士。女性ライフクリニック新宿院長。
クリニックでは女性の健康とライフデザインをサポート。患者様に合った最適な方法を提案している。日本医師会認定健康スポーツ医・循環器専門医・国際協力NGOジョイセフフレンドとしても活躍。1男1女の母。

生理中に下痢になる原因とは?

下痢は生理中に起きることが多い、代表的な不快な症状の一つです。生理のときに起こる腹痛、腰痛、頭痛や吐き気などと並んで、月経困難症の一症状にも挙げられています。
大学生を対象にした研究 (※1) では、約3割が生理中に下痢症状があるという報告もあります。

なぜ生理中は下痢になりやすいのでしょうか?それには、以下のようなことが関係していると考えられています。

主な原因は?

生理中に下痢になる詳しい原因はわかっていませんが、子宮内膜でつくられるプロスタグランジンが関係しているという説が有力です。

プロスタグランジンは体内のさまざまなところで働く物質です。生理中は子宮を収縮させ、不要になった子宮内膜を体外に押し出す働きをしています。生理前になるとプロスタグランジンが子宮内膜でつくられ、生理に向けた準備が進められます。この産生されるプロスタグランジンの量が過剰になってしまうと、子宮の収縮が強くなり生理痛が起こります。
またプロスタグランジンは、血液中に入ると腸管の収縮を引き起こします。腸管の収縮が起こると下痢も起こりやすくなると考えられます。

生理中に下痢になる人は意外と多い

生理前に下痢になる人もいますが、生理中のほうがその割合は圧倒的に多いようです。

大学生を対象にした研究(※1) によると、生理前の不快症状で多いのは腹痛、乳房の張り、腰痛、倦怠感の順となっています。生理前に下痢が気になっていると答えた人は、にきびや眠気が気になる人よりも少なく、順番は下から数えたほうが早いくらいです。しかし生理中になると、腹痛、腰痛、倦怠感に次いで、4番目の多さにまで増えています。

また、同じ研究では約3割(28.9%)が「生理中に下痢になる」と答えていて、意外と多くの人が生理中の下痢に悩んでいることがわかります。

※1 齋藤千賀子,西脇美春:山形保健医療研究,Vol.8,2005

生理中の下痢予防としてできること

生理中の下痢を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、工夫をすれば症状を少しでも和らげることはできます。生理中の下痢を予防するヒントをご紹介します。

食べ過ぎない

一般的に食べ過ぎや飲み過ぎは、消化不良になったり腸内の水分バランスを崩したりして、下痢を引き起こしやすくします。そのため、下痢が気になる人は食べ過ぎや飲み過ぎに要注意。生理中に食欲が増しやすい人は、特に気をつけておきましょう。

食べ過ぎない

刺激の強い食べ物を避ける

辛いもの、油っこいものなど、刺激の強い食べ物は胃腸の負担となり、下痢の原因になります。生理中の下痢が気になる人は、なるべく避けたほうがよいでしょう。

また、牛乳・乳製品、アルコール、カフェインを含む食品・飲料などもおなかを下しやすくすることがあるため、生理期間は避けるのが無難です。

おなかを温める

おなかを温めると腸の過剰な活動が治まり、痛みが和らいだり、消化・吸収が促されたりして、下痢を防ぐ効果が期待できます。

冷たい食品や飲料の摂り過ぎもおなかを冷やしてしまいます。できれば温かいものを選ぶように心がけましょう。

ストレスを避け、ゆったり過ごす

疲労やストレスは下痢を引き起こす一因になります。

生理期間は予定を調整し、睡眠時間をいつもより長くとるなど、十分に体を休め、疲労やストレスを溜めないよう工夫しましょう。

それでも下痢になってしまったら…

予防策をとっていても、下痢になってしまうこともあるでしょう。そんなときには、以下の方法を参考に対処してみてください。

水分を摂る

下痢のときは、水分の排出量がいつもより多くなりがちです。脱水状態にならないよう、水分をこまめに補給しましょう。

なお、冷たい水やスポーツ飲料は水分補給に適していますが、摂り過ぎるとおなかを冷やしてしまうかもしれません。冷たい水分の摂取は適度におさえ、代わりに白湯などを飲むとよいでしょう。

水分を摂る

カリウムの多い食品を摂取する

生理中に限らず、重い下痢症状で水分の排出量が多くなると、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルが失われやすくなります。なかでもカリウムが少ない状態が続くと疲れやすくなったり、これといった運動をしていないのに筋肉痛になったり、今までよりも筋力が低下したように感じられることがあります。

下痢症状の重い人は、カリウムを含むトマトジュースなどを意識して摂るのがおすすめです。

温かく消化の良い食事を意識する

食事は、温かく消化の良いものを中心にしてみましょう。
ごぼう、ブロッコリーなどに含まれる食物繊維は腸の働きを整えます。煮物やスープのように加熱し、やわらかくさせて食べるとカラダも温まるうえ、腸の調子も整いやすくなるのでおすすめです。

下痢止め薬をのむ

下痢に悩んでいる場合、止痢薬(下痢止め薬)によって気になる症状を抑えることも有効です。市販薬を利用してもよいですが、心配な人は婦人科を受診して処方してもらってもよいでしょう。

ツライときはガマンせず、症状を和らげる対策を

生理中の下痢は、生理に伴って起こる症状の一種で、悩んでいる女性は少なくありません。
下痢の症状が出やすい場合は、おなかを冷やさない、刺激の強い食べ物を避ける、生理中だけでもゆったり過ごしてストレスを減らすなど、あらかじめ対策しておくと安心です。
それでも下痢の症状が出てしまったら、ガマンせずにお薬を服用し、ツライ症状を和らげましょう。

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