更新日:2024.03.22
生理が遅れる原因は、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、睡眠不足、急激なダイエット、卵巣や脳の病気などが多いといわれています。
生理が遅れている原因がストレスや生活習慣にある場合、根本的な原因を解消させる必要があります。
生理周期を整えるためのポイントや対処法をご紹介します。
監 修
早田 輝子先生
医学博士。女性ライフクリニック新宿院長。
クリニックでは女性の健康とライフデザインをサポート。患者様に合った最適な方法を提案している。日本医師会認定健康スポーツ医・循環器専門医・国際協力NGOジョイセフフレンドとしても活躍。1男1女の母。
正常な生理周期とは
生理周期は、生理の出血が始まった日を「開始日(1日目)」とします。そこから、次の生理が始まるまでの期間が1回の生理周期です。
正常な生理周期とされているのは、周期が25~38日の場合です。生理周期が24日以内だと頻発(ひんぱつ)月経、39日以上の場合、稀発(きはつ)月経と分類されます。
ただし、生理周期が28日間となる女性の割合は10~15%にすぎません。また少なくとも20%の女性は、生理周期が不規則といわれています。つまり、おおよそ25~38日周期で生理が来ていれば、多少の前後があっても生理の早さや遅れについて心配する必要がないといってよいでしょう。
なお、次の生理がいつ始まるのかについては、基礎体温を記録していれば大まかに把握することができます。
基礎体温は女性の生理周期が順調に巡っているかがわかる大切な指標です。朝、目覚めてすぐ、起き上がる前に婦人体温計を使って測定します。
一般的に、生理前の黄体期には基礎体温が高い高温期が続きますが、生理が始まる時に基礎体温は一気に下がります。基礎体温の高い日が続いた後、急に下がった日があれば、生理がくるタイミングかもしれません。
出典:対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座の分類
生理が遅れる原因はさまざま
生理が遅れる原因はさまざまです。具体的にどのような原因があるのか、詳しくみていきましょう。
ストレス
女性ホルモンは環境の変化やストレスに左右されやすいため、卵巣や子宮の状態は生理周期のたびに異なります。それが毎回の生理に影響を与え、生理の遅れにつながることがあります。
心配ごとや不安があるときに生理が遅れるのは、決して珍しいことではありません。妊娠の心当たりがない場合、まずは様子をみてみましょう。3カ月くらい様子をみても生理がこない場合は、「無月経(続発性無月経)」と呼ばれる状態であるため、医療機関を受診することをおすすめします。ただし、無理に3カ月待つ必要はありません。不安があれば、ガマンせずに受診しましょう。
急激なダイエット
ダイエット中に生理が遅れるのは、栄養不足のサインかもしれません。
ダイエットは、適切な栄養摂取とエネルギー量、そして運動のバランスを考えて行う分には、基本的に問題ありません。しかし、極端に食事の量を減らすなどの方法をとると栄養の偏りなどが生じ、その結果、生理周期が乱れて生理が遅れたり、ひどくなると生理が止まったりすることがあります。
そのまま生理不順を放置してしまうと子宮や卵巣の機能が停止し、将来妊娠しづらくなったり、骨を丈夫にするエストロゲンが十分に分泌されず、骨がもろくなったりするなど、カラダに良くない影響があらわれることがあるので注意しましょう。
不規則な生活(睡眠不足)
女子大学生を対象に行ったある調査では、睡眠時間が6時間未満の場合は急激なダイエットをしたときと同じように、生理周期が不規則になる割合が高いという結果が報告されています。つまり、不規則な生活、とくに睡眠不足は生理周期に影響を与え、生理不順を招くことがあるため、注意が必要です。
また最近では、パニック障害やうつによる睡眠不足の治療のために、睡眠薬や精神安定剤などの薬物治療を長期的に行った結果、ホルモンバランスが崩れ、生理不順をきたす女性も増えています。
初潮が始まってすぐ、もしくは閉経前
初めての生理(初潮)がきてから数年間は、生理周期が安定しないことがあります。そのため、生理が始まって間もないときの生理不順には、大きな心配はないことがほとんどです。
また、閉経前も同様です。閉経の直前の数年間は、生理周期の変動が最も大きくなる時期で、生理も遅れがちです。日本人女性の平均閉経年齢は50歳です。その5年くらい前のタイミングで生理が遅れることがあれば、閉経が近づいているサインかもしれません。なお、この時期は、かえって生理周期が早まったり、経血の量が変化したりすることもよくみられます。
激しいスポーツやトレーニング
激しいトレーニングを続けていると、エネルギー不足などから生理が遅れがちになったり止まってしまったりと、生理に影響が出ることが少なくありません。
「生理がない方がラクでいい」と思う人もいるようですが、それは誤った考え方です。エストロゲンの分泌が不足し、骨密度が低下して骨粗しょう症になったり将来的に妊娠しづらくなったりなど、カラダに悪影響を及ぼすリスクがあります。
生理不順や無月経を軽くみず、早めに対処するようにしましょう。
卵巣や脳の病気
卵巣のはたらきに問題があったり、女性ホルモンをコントロールする脳下垂体の腫瘍や内科系のほかの病気が原因で、生理が遅れることもあります。
具体的な病名としては、多嚢胞性卵巣症候群(何らかの原因で卵胞の発育障害がおこり、生理の異常や多毛、声の低音化といった男性化の兆候などがみられる病気)、高プロラクチン血症(脳の下垂体から分泌されるプロラクチンというホルモンの分泌量が過剰になり、生理の異常や乳汁の漏出、頭痛、眼筋まひなどが生じる病気)、甲状腺機能異常症(亢進症および低下症)などがあります。
生理周期を整えるための対処法
生理周期は、生活習慣の改善によって整うことが少なくありません。
まずは普段の生活を見直し、生活リズムや食事のバランスなどを整えてみましょう。
ストレス緩和
イライラやストレスを完全になくすことはできませんが、うまく向き合い、できるだけストレスを少なくすることが大切です。
たとえば、脳を休めることでイライラを鎮めやすくなります。たくさん寝る、ゆったり過ごす、散歩をするなどで脳をリフレッシュしてみましょう。
好きな動画を見る、肌触りのよい服を着る、好きな香りをそばに置くなど、ポジティブな感情を生み出す行動を意識するのもおすすめです。
そのほか、カラダの芯を温めるよう、ゆっくり入浴するのも良いでしょう。血行の促進、むくみや冷えの解消とともにココロもリラックスできます。
ストレッチ
ストレッチをして筋肉や関節を伸ばすことには、大きく二つの効果があるといわれています。一つはカラダを温める効果です。ストレッチをすることで血液の流れが良くなり、体温が上がっていきます。
もう一つはリラクゼーション効果です。ストレッチで緊張がほぐれると、副交感神経の活動が活発になり、カラダがリラックス状態になります。
このようにカラダが温まったり、副交感神経が働きリラックスしたりすることで、徐々に生理周期が整うことが期待できます。
栄養バランス
「栄養バランスの整った食事」というと、「野菜をたくさん食べればいい」と思うかもしれませんが、野菜をたくさん食べれば、栄養バランスが整うわけではありません。
野菜だけでは、たんぱく質や脂質が不足しがちになります。エネルギーのもとになる三大栄養素、たんぱく質・脂質・炭水化物を意識し、バランスよく摂取することが大切です。
また、エネルギー(カロリー)はとりすぎも、とらなさすぎも問題です。痩せていても偏った食事をしている人は、必要なエネルギー量を摂取できていない可能性があります。一方で、パンやパスタなど手軽に食べられる炭水化物中心の食事になった結果、エネルギーとして消費されなかった糖質が中性脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病の原因となることもあります。食材のカロリーやイメージだけにとらわれず、バランスを考えて、上手に栄養を摂取しましょう。また、目に見えない添加物についても注意が必要です。添加物の中には、ホルモンバランスを乱してしまうものもありますので、なるべく避けるのがよいでしょう。
朝食もしっかり食べることが大切です。朝食を食べない人は、カルシウムや食物繊維などの栄養素が、一日の必要量に大きく足りていないことがわかっています。一日二食で必要な栄養素をとろうとすると、一食でたくさんの量を食べなければなりません。そのため、朝食をしっかり食べて、無理なく一日に必要な栄養素を摂取するよう心がけましょう。
十分な睡眠
睡眠にはココロやカラダを修復する作用があります。しっかりと睡眠をとり、ココロとカラダを休めて生理周期を整えましょう。
なかにはストレスがたまり、自律神経の調節がうまくいかずに睡眠不足になる人もいます。その場合は、まずストレスを緩和し、リラックスすることを優先しましょう。
なお、平日と休日の睡眠時間をずらさないことも睡眠リズムの確立に役立ちます。休みの日だからといって寝だめや夜ふかしをすると、睡眠リズムが崩れ、かえって自律神経が乱れることもあるので気をつけましょう。
ピルの活用
ストレスなど、何らかの原因でホルモンの分泌に不具合が生じて生理不順になっている場合は、ピルを服用することでホルモンバランスが整う効果が期待できます。
ピルを服用している間はホルモンがバランスよく補われ、服用を休止すると出血が起こり、生理がくるという一連のサイクルを生じさせることができます。それを繰り返すことで、徐々に生理周期が整っていくでしょう。
生理がこないときはどうすればいい?
生理が多少遅れても、正常な生理周期(25~38日)の範囲内で定期的にきていて、日常生活に特に支障がないようであれば、そのまま様子をみていてもよいでしょう。
正常な生理周期よりも長くなること(生理周期が39日以上)が続くような場合は、排卵がない可能性やホルモンの病気の可能性もあるので、婦人科で相談しましょう。遅れる場合だけでなく、早すぎる場合(生理周期が24日以内)も同様です。
そのほか、生理不順の影響で貧血になるなど、日常生活に支障が出ている場合は、ガマンせずに婦人科を受診しましょう。
生理不順で受診した場合、妊娠の可能性があれば、まず尿検査をして、妊娠の有無を調べます。基礎体温は、生理不順のタイプを知り、原因を推定するのに役立ちますので、日ごろより計測しておくとよいでしょう。一般的には、基礎体温に加え、超音波検査や血液検査で原因を特定します。
思春期の女性の場合は、内診の必要な検査(経腟超音波検査など)は省略し、経腹超音波検査で代用することが多いので、安心して受診してください。また、早く生理をおこした方がよい場合は、ピルで誘発させることもあります。
生理が遅れていても、まずは落ち着いて穏やかに過ごして
生理の遅れは、一時的なものであることが少なくありません。まずはストレスを解消する、十分な睡眠をとる、栄養バランスの整った食事をとるなどしてココロとカラダを休めましょう。それだけで生理周期が整うことがあります。
ただし、「よくあることだから」と放置し続けてしまうことは好ましくありません。
落ち着いて穏やかに過ごしつつ、前回の生理から3カ月たっても生理がこない場合や、くり返し生理不順が起こる場合、また生理周期が遅れていることに不安を感じる場合は、婦人科を受診するなどして医師に相談しましょう。
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