腸は大変デリケートな器官で、食生活の乱れやストレスなどの影響を受けやすいといわれています。つまり、生活習慣に気をつけることで腸のトラブルを防いだり、改善につなげたりできるのです。ふだんの生活習慣を見直して、腸にやさしい毎日を送りましょう。
腸のトラブルが起こる原因の一つに、腸内フローラの乱れがあります。
腸内フローラとは、腸の中にすむ腸内細菌のバランスをお花畑(フローラ)にたとえた言い方。健康な腸には、腸内細菌である善玉菌や悪玉菌などが一定のバランスを保ちながら存在します。しかし、バランスが乱れ、悪玉菌が優勢な状態になると、腸に残っている食物の腐敗が進み、悪臭のするガスが発生します。また、病原菌の増殖を抑える力が低下して、感染症を引き起こす可能性が高くなるなど、体全体に悪影響を与えます。
このなかでも、腸内フローラに大きく影響するのが食事です。毎日摂るからこそ、食事内容によって、善玉菌が増えて悪玉菌が減る、逆に悪玉菌が異常に増加するなど、バランスが変化します。
腸が健康で、働きやすい環境にするためには、腸内フローラのバランスを善玉菌優勢に保つことが欠かせません。こうしたことから、善玉菌を優勢にする食事を摂るように心がけましょう。
一つめは、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を直接摂ること。
善玉菌を腸内に継続的に補うことが重要なので、毎日続けて乳酸菌飲料や発酵食品を摂取することがおすすめです。
規則正しくバランスのとれた食生活を
食事内容に限らず、食べるタイミングも腸に影響を与えます。忙しいなどの理由で、食事を抜いたり、食事をする時間が不規則だったりすると、体のリズムが乱れて腸の働きが悪くなります。さらに、食事量や水分摂取量が極端に少ない場合も、働きが低下するので便秘につながります。規則正しく、バランスのとれた食生活を送ることも大切です。
自律神経を整える方法として、簡単にできるのが腹式呼吸です。鼻で息を吸いながらおなかをふくらませて、そのあと息をゆっくり吐きながらおなかをへこませます。深くゆっくりとした呼吸は、自律神経を整えてリラックス効果をもたらします。
また、腹式呼吸をすると、腸が刺激されて働きが活発になるので、お通じが良くなります。このほか、ストレッチやヨガなども自律神経を整えるのに効果的です。手が空いたちょっとした時間に実践してみてはいかがでしょうか。
さらに、腸の働きを活発にするには、適度な運動も大切です。なかでもおすすめなのが腹筋運動。便を押し出すときに必要な筋肉である腹筋を鍛えることにもなるので、一石二鳥です。最初はあまり無理をせずに、できる範囲で続けてみましょう。
どうしてもスッキリしないと感じるときは、腸のかたちに沿って「の」の字を書くようにやさしい力で押しながらマッサージするのもおすすめです。圧力がかかることで、たまってしまった便が動きやすくなります。 腸を刺激して、スッキリさせましょう。
【参考】
腸内細菌と健康(e-ヘルスネット情報提供、厚生労働省)
『胃腸ケア・ガイドブック』(興和新薬)