更新日:2024.09.24

生理前に体重が増える原因とは?体重増加を防ぐ対処法をご紹介

生理前になるとカラダが重く感じられ体重が増えるのに、生理が終わると元に戻る。
そんな生理期間中の体重の変化を、不思議に思う人もいるでしょう。
生理時の体重増加は、女性ホルモンの影響によるものがほとんどです。
生理期間は、太りやすく痩せにくいといわれています。
今回は生理前から体重が増える原因や対処法などを解説します。

監 修

早田 輝子先生

早田 輝子先生

医学博士。女性ライフクリニック新宿院長。
クリニックでは女性の健康とライフデザインをサポート。患者様に合った最適な方法を提案している。日本医師会認定健康スポーツ医・循環器専門医・国際協力NGOジョイセフフレンドとしても活躍。1男1女の母。

生理前に体重が増える原因

生理前に体重が増えるのは、主に女性ホルモンの変動が関係しています。
女性ホルモンの変動によって、むくみ、便秘、食欲増進といった影響があらわれ、体重増加につながるといわれています。詳しく解説します。

女性ホルモンの変動

女性ホルモンとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の総称です。この二つが1ヶ月の中で互いに関連しながら大きく変化していきます。
生理前の体重増加には女性ホルモンのうち、主にプロゲステロンが関わっているといわれています。
プロゲステロンは、排卵後より分泌され始め、子宮内膜を柔らかくして妊娠を助けます。また、妊娠に備えて積極的にカラダを動かすことを避け、水分や糖分などをカラダに溜め込む働きをします。この働きによって生理前には体重が増加すると考えられます。
体重の増加は、女性ホルモンの変動によって月経前のカラダやココロにさまざまな変化が生じる月経前症候群(PMS)の症状の一つにも挙げられています。
体重の増加量には個人差があり、なかには2kg近く体重が増える人もいます。

むくみ

むくみ

プロゲステロンの働きによって、生理前はカラダに水分を溜め込みやすく、むくみが生じやすくなります。
朝起きて顔がむくんでいると感じたり、夕方になるといつもより足のむくみを感じたりすることもあるでしょう。むくみが原因で一時的に体重が増加することがあります。

便秘

プロゲステロンには、腸の動きを弱める働きもあるといわれています。
エストロゲンよりもプロゲステロンの分泌量のほうが多くなる生理前には、便秘になる人も多く、それが生理前の体重増加の一因になっていることも考えられます。

食欲の増加

生理前に優位になるプロゲステロンには、食欲を増加させる働きもあります。
また、生理前は大きなホルモン変動が起こる時期なので、自律神経が乱れることから、食欲が増してしまうこともあるでしょう。
こうした生理の影響で起こる食欲の変化が、体重を増加させている可能性もあります。

生理とダイエットの関係

女性ホルモンの観点から考えると、体が活動的になる働きをもつエストロゲンの分泌量が増える、生理が終わる直前から排卵までの卵胞期がダイエットに向いている期間といえます。

生理前は体重が増えるため、この期間にダイエットを考える人もいるでしょう。しかし、この期間に増えているのは脂肪ではなく、ほとんどの場合が水分です。そのため、ダイエットというよりは水分の排出を促し、むくみの解消を優先するのがよいでしょう。
むくみは血行不良にも関係します。湯船に浸かってカラダを温めたり、軽い運動やストレッチをしたりすると血行が良くなり、むくみの改善や体重増加を抑えることにもつながります。
血行不良は生理痛を増強させる一因でもあります。血行を良くすると、体重増加の原因であるむくみとともに、生理痛の改善にもつながるかもしれません。

ただ、近年の研究では、生理前には水分が増えて体重が増加する一方で、ノルアドレナリンという物質が血液中に増えて、脂肪の分解が促進されるというデータも示されています。
つまり、生理前には体脂肪燃焼に効果的なウォーキングなどの有酸素運動を行うと、効率よく体脂肪を減少させられる可能性があるということです。
有酸素運動は、むくみや血行の改善にも効果的です。体調に問題がなければ、無理のない範囲で取り入れてみてもよいでしょう。

※ ノルアドレナリン:ストレスを感じたときに、交感神経や副腎髄質から放出される物質。体を活動的にしたり、血圧の上昇や基礎代謝率の増加をもたらしたりして、中性脂肪を分解する作用をもつ。

生理期間にダイエットをしてもよい?

生理期間にダイエットをしてもよい?

生理期間はプロゲステロンの分泌量が減って経血の排出が始まります。たまった水分なども排出されやすくなることから、体調が悪くなければダイエットをスタートしてもよいです。
ただ、生理期間は経血として血液が流れ出てしまい、鉄分が失われやすくなっているなど、栄養不足が起こりがちです。
体重の変動に気をとられていると極端な食事制限につながり、エネルギーや栄養不足の状態に陥ってしまうかもしれません。その場合には、ダイエットによりかえって体調を崩す可能性もあります。
そのため、経血の量や体調が落ち着いた頃から始めるのが、無理のないスケジュールかと思われます。

生理前の体重増加を防ぐ方法

さきほど紹介したストレッチや有酸素運動のほかにも、生理前の体重増加を抑えるアイデアはいくつかあります。
順にご紹介しますので、できる範囲で参考にしてみてください。

生理周期を把握する

女性の体重変化は、基本的に生理周期にともなって起こります。自分自身の生理周期を把握しておくと、体重増加が起こりやすい時期がわかり、対策がしやすくなるでしょう。
そのため、生理がきたら記録をつける習慣をつけましょう。
基礎体温を測定すると、さらに生理周期がわかりやすくなります。一般的に基礎体温は低温期と高温期の二相性になっていて、低温期から高温期になり体温が上がるタイミングで排卵が起こり、高温期から低温期になり体温が下がるタイミングで生理になります。
排卵が起こったあとは、プロゲステロンの分泌量が増え、体重が増えやすくなる時期です。この時期に工夫をすると体重の増加を抑えることができます。

食事内容を工夫し、過食を防ぐ

生理前は食欲が増しやすいため、つい食べ過ぎてしまって、プロゲステロンによって蓄えた水分以上の体重増加につながってしまう場合もあるでしょう。そんな時は食事の内容を工夫し、体重が増加し過ぎないようにしましょう。
例えば、生理前は甘い物が食べたくなり、糖質と脂質を摂り過ぎてしまうことがあります。
一方、ビタミン、ミネラルやタンパク質、食物繊維は不足しがち。そのため、まずは汁物やサラダを先に食べる、複数回に分けて食事を摂る、タンパク質・野菜・海藻を中心に食べることを意識するとよいでしょう。
甘いものを食べたい気持ちも全てガマンするとストレスがたまってしまいます。上記を参考に食べ方や食事内容を工夫したご褒美として、甘いものを少量食べるようにするとよいかもしれません。

食事内容を工夫し、過食を防ぐ

十分な睡眠を確保する

食欲の増加はストレスによって生じることもあります。
睡眠にはココロやカラダを修復する作用があり、ストレスの解消にも効果的です。しっかりと睡眠をとりココロとカラダを休めることができると、ストレスもたまりにくくなり、食べ過ぎの予防につながって、必要以上の体重増加を防ぐことにもなるでしょう。
ただでさえ生理前は、プロゲステロンの「体温を上げる」という働きによって基礎体温が高くなるため、睡眠リズムが乱れやすい時期です。
できるだけゆったり過ごして、睡眠を確保できるよう気をつけましょう。

婦人科に相談する

生理前に自分ではコントロールが難しいほど食欲が増したり、体重の増加がストレスに感じられたりする場合は婦人科を受診し、相談してみましょう。
低用量ピルなどを用いてホルモンの変動を抑えたり、漢方薬を用いてストレスなどの精神症状を抑えたりする治療を提案してもらえることもあります。
ガマンせずに、適切に医療機関を利用し、生理前を快適に過ごしましょう。

生理後には体重は戻る?

生理周期に関わる体重の変化は、食事量や運動量の影響もありますが、生理前に体重が増加し、生理が始まって2日くらいすると体重が元に戻るというのが一般的です。
一時的とはいえ、体重が増えることを憂うつに感じるかもしれませんが、生理の影響で体重が増減することは、むしろ健康であることの証と捉え、ゆったりと構えておきましょう。

自分のカラダの変化を把握して、生理と上手に付き合おう

女性は、女性ホルモンの変動によって、生理前にむくみ、便秘、食欲増進といった影響があらわれ、体重が増加します。
健康な女性のカラダに起こる生理現象で一時的なものとはいえ、毎月体重の変化が起こると気分も落ち込んでしまうでしょう。
また、生理痛が一緒に起こると、自分らしく過ごせず、ツライ気持ちが強くなることもあるかもしれません。
女性のカラダとココロのバランスはとてもデリケート。ツライときには無理をしないことが大切です。
生理周期に伴い起こりやすい変化をなるべく把握して、自分のカラダと上手に付き合っていけるとよいですね。

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