2026.04.23

かぶれ(接触皮膚炎)とは?身近にある原因や対処・予防法を解説【医師監修】

かぶれ(接触皮膚炎)とは?身近にある原因や対処・予防法を解説【医師監修】

赤みやかゆみ、ぶつぶつ、水ぶくれといった炎症をともなう「かぶれ(接触皮膚炎)」。かぶれは原因となる物質に触れることで、誰にでも起こり得る皮膚トラブルです。しかし、一時的なものと思って放置したり、かゆみに耐えきれずに掻いたりすると、炎症が広がって治りが遅くなるだけでなく、色素沈着の原因になることもあります。
本記事では、かぶれの種類や症状、原因に加えて、対処法や予防法について医師の監修のもとわかりやすく解説します。

監修
高山かおる先生

高山 かおる 先生 埼玉県済生会
川口総合病院
皮膚科
主任部長

かぶれ(接触皮膚炎)とは?

一般に「かぶれ」と呼ばれるものは、医学的には「接触皮膚炎」といいます。皮膚に触れた物質が原因となって起こる炎症で、赤み、かゆみ、ぶつぶつ、ヒリヒリ感などを生じます。接触皮膚炎には、刺激によって起こるものと、アレルギー反応によって起こるものがあります。

かぶれは比較的よくみられる皮膚疾患で、原因や発症のしくみはさまざまです。予防や再発防止には、原因となる物質を特定し、接触を避けることが重要です。

かぶれ(接触皮膚炎)の症状

かぶれでは、局所的な部位に下記のような症状が現れます。

  • かゆみ
  • 痛み
  • ぶつぶつ(発疹)
  • 腫れ
  • 赤み(紅斑:こうはん)
  • 水ぶくれ(小水疱:しょうすいほう)

症状の現れ方はさまざまで、軽い赤みやかゆみだけでおさまる場合もあれば、強いかゆみや痛み、水ぶくれが起きる場合もあります。また、かぶれが慢性化すると、皮膚がごわごわした状態(苔癬化たいせんか)に至ることもあります。

かぶれ(接触皮膚炎)の種類

かぶれ(接触皮膚炎)の種類

かぶれは、発症のメカニズムや原因によって主に次の3つのタイプに分類されます。

  • 刺激性接触皮膚炎
  • アレルギー性接触皮膚炎
  • 光接触皮膚炎

それぞれの特徴について、詳しく解説します。

刺激性接触皮膚炎

「刺激性接触皮膚炎」は接触皮膚炎の多くを占める疾患で、誰にでも起こるものです。

酸やアルカリ、植物、石けんや洗剤、尿や唾液の水分などの物質が原因で起こります。原因になる物質に触れた直後に生じることもあれば、長期間、または頻繁に触れたあとで生じることもあります。

アレルギー性接触皮膚炎

「アレルギー性接触皮膚炎」は、原因となる物質(アレルゲン)に触れたときに、その物質に対する体の免疫反応によって起こる皮膚炎です。

皮膚が原因物質に触れると、物質に対して敏感になる「感作かんさ」という状態に陥ります。この感作が起きたあと、再度その物質に触れることで強いかゆみや炎症が起きるのが特徴です。

光接触皮膚炎

「光接触皮膚炎」は、光を浴びた際、皮膚についた物質が反応して起こる皮膚炎です。
光接触皮膚炎の一種である「光アレルギー性接触皮膚炎」は、特定の物質に光(主に紫外線)が当たることでアレルギー物質に変化し、免疫が反応して皮膚に赤みやかゆみ、水疱すいほう斑点はんてんなどが現れるものです。原因となる主な物質は、湿布薬、香料などが挙げられます。

身近にあるかぶれ(接触皮膚炎)の原因

かぶれの原因には、洗剤や消毒薬、汗、摩擦などの刺激によるものと、特定の物質に対するアレルギー反応によるものがあります。身の回りには原因となりうるものが多く、日用品、化粧品、金属製品、植物、外用薬などが関係することがあります。

かぶれの原因になりやすいもの

かぶれの原因になりやすいものには、次のようなものがあります。

  • 洗剤、石けん、消毒薬など
  • アクセサリーや腕時計、ベルト金具などの金属
  • 化粧品、香料、染毛剤
  • ゴム製品、湿布薬、外用薬
  • 植物(ウルシなど)

このうち、アレルギーによるかぶれでは、原因となりやすい物質として、ニッケル、金、コバルト、ウルシオール、パラフェニレンジアミンなどが知られています。これらは、アクセサリー、染毛剤、塗料、ゴム製品など、日常生活のさまざまな場面で触れる可能性があります。

かぶれの原因になりやすい物質は、金属やゴム製品など身近なものに使用されていることもあるため、知らないうちに触れてしまう可能性があります。くり返しかぶれが起こっている場合は、原因物質を特定することが重要です。

【部位別】かぶれの原因になりやすい身の回りのもの

上記で挙げた物質の他、日用品や衣類、化粧品など、さまざまなものが原因になります。かぶれの原因になりやすい身の回りのものの例は部位ごとに挙げると次の通りです。

部位 かぶれの原因に
なりやすいもの
頭部 シャンプー、育毛剤、染毛剤、ヘアピンなど
化粧品、外用薬、日焼け止め、メガネなど
目周辺 点眼薬、眼軟膏、ビューラー、化粧品など
ピアス、補聴器、メガネなど
唇・口まわり 化粧品、リップクリーム、歯磨き粉、金属、
食品(くだもの)など
ネックレス、ヘアケア用品、衣類洗剤など
胴体 衣類のゴム・レース・金具、ベルトのバックル、
衣類洗剤、湿布薬など
洗剤、手袋など
ブレスレット、時計、洗剤、湿布薬など
外陰部・臀部 避妊具、外用薬、おむつ、ナプキンなど
脚・足 靴下、靴、抗真菌薬、湿布薬など
わきの下 デオドラント、香水など

このように、かぶれの原因は特別な物質に限らず、身近なものに含まれている場合があります。

特に、新しい化粧品や洗剤を使い始めたあとに症状が出る場合や、特定のアクセサリーや衣類を身につけた部分に症状が現れた場合は、これらが原因となっている可能性が考えられます。

かぶれ(接触皮膚炎)の対処・予防法

ここからは、かぶれの対処法と予防法について詳しく解説します。

かぶれ(接触皮膚炎)の対処法

かぶれが起きたときは、まず原因と思われるものに触れないようにすることが大切です。
そのうえで、症状が軽い場合には市販薬で様子を見る方法があります。一方で、症状が強い場合や長引く場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。接触皮膚炎では、炎症を抑える治療とあわせて、原因を見極めて避けることが重要です。

市販薬で対処する

赤み、かゆみ、軽いぶつぶつなど、症状が比較的軽い場合には、市販のステロイド外用薬が選択肢になります。ステロイド外用薬には、皮膚の炎症を抑える働きがあり、かゆみや赤みを和らげるのに役立ちます。

また、原因と思われる物質に触れた直後であれば、まずはそれ以上触れないようにし、必要に応じて水でやさしく洗い流すことも大切です。こすりすぎはかえって刺激になることがあるため、強く洗いすぎないようにします。接触皮膚炎では、原因から離れること自体が大切な対処になります。
掻きこわすと悪化しやすいため、かゆみがあってもできるだけ掻かず、早めの対処を心がけましょう。

ステロイド外用薬とは

ステロイド外用薬は、皮膚の炎症を抑える塗り薬です。赤み、かゆみ、湿疹、腫れなどを改善するために使われています。薬の強さには段階があり、日本では一般に5段階に分類されています。

市販薬として購入できる製品もありますが、症状の強さや塗る部位によって、適した薬は異なります。迷ったときは、薬剤師や登録販売者に相談して選ぶと良いでしょう。

また、ステロイドの中には患部でよく効き、体内では分解されて作用が穏やかになる「アンテドラッグステロイド」というものもあります。有効性と安全性を考えて設計された薬であり、市販で購入できる製品もあるので、症状や患部に合わせて適切なものを選びましょう。

なお、ステロイド外用薬は炎症を抑えるのに有用ですが、長く続くかぶれでは原因が残っていることもあるため、塗ってもくり返す場合は受診して原因を確認することが大切です。

<関連記事>
ステロイド外用薬(塗り薬)とは?効果や強さ、副作用などを解説

症状が強いとき、長引くときは、医療機関を受診する

次のような場合は、市販薬だけで様子を見続けず、皮膚科の受診を考えましょう。

  • 赤みや腫れが強い
  • 痛み、水ぶくれ、ただれがある
  • 顔やまぶた、陰部などデリケートな部位に出ている
  • 広い範囲に広がっている
  • 市販薬を5~6日間使っても良くならない
  • 何度も同じ場所にくり返す

医療機関では、症状に応じて外用薬や内服薬が使われるほか、原因を調べるためにパッチテストなどが行われることがあります。原因がわかると、再発予防にもつながります。

かぶれ(接触皮膚炎)の予防法

かぶれを予防するうえで最も大切なのは、原因となるものにできるだけ触れないことです。

接触皮膚炎は、洗剤や消毒薬、化粧品、金属、ゴム、染毛剤、植物、外用薬など、身の回りのさまざまなものが原因になります。原因がわかっている場合は、その物質を避けることが再発予防の基本です。

また、仕事や家事などで原因となるものに触れやすい場合には、手袋や保護具を上手に使い、皮膚への接触を減らす工夫も役立ちます。原因がはっきりしないままかぶれをくり返す場合は、皮膚科で相談し、必要に応じて原因を調べることが大切です。

原因と考えられる物質との接触を避ける

かぶれの原因に心当たりがある場合は、その物質に触れないようにすることが、最も確実な予防につながります。

たとえば、化粧品、染毛剤、湿布、アクセサリー、洗剤、ゴム手袋など、毎日の生活で何度も触れているものが原因になっていることもあります。

仕事や家事の都合で完全に避けることが難しい場合は、手袋、保護用の衣類、道具の使い分けなどで、できるだけ直接触れないように工夫します。原因を避けても改善しない場合や、何が原因かわからない場合は、自己判断だけで続けず、皮膚科で相談することが大切です。

皮膚への刺激を減らす

接触皮膚炎は、アレルギーだけでなく、くり返される刺激によっても起こります。

そのため、原因物質そのものを避けるだけでなく、皮膚への負担を減らすことも予防につながります。

たとえば、洗いすぎ、こすりすぎ、長時間の水仕事、汗によるむれ、摩擦などは皮膚への刺激になります。手洗いや入浴は必要ですが、強くこすりすぎないようにし、皮膚に負担をかけすぎないことが大切です。

皮膚の状態を整える

皮膚が乾燥したり荒れたりしていると、刺激の影響を受けやすくなります。

日ごろから保湿を心がけ、皮膚の状態を整えておくことも、かぶれの予防に役立ちます。

ただし、予防で最も重要なのは、あくまでも原因となるものを避けることです。スキンケアはそれを補うものであり、原因に触れ続けたままでは、かぶれをくり返すことがあります。

かぶれ(接触皮膚炎)は掻かずに早めに 対処することが大切!
症状が長引く場合は医療機関を受診しよう

かぶれ(接触皮膚炎)は掻かずに早めに対処することが大切!症状が長引く場合は医療機関を受診しよう

かぶれが生じたら、原因と考えられる物質との接触を避け、ステロイド外用薬などを使用して炎症を抑えることが大切です。放置したり搔いたりすると炎症が広がって治りが遅くなるだけでなく、色素沈着の恐れもあるため、適切な処置を心がけましょう。
かぶれを予防するためには、原因となるものにできるだけ触れないようにすることを基本とし、そのうえで皮膚への刺激を減らしたり、皮膚の状態を整えたりすることが大切です。
症状がひどい場合や市販薬を5~6日間使用しても改善が見られない場合は、無理をせず医療機関に相談しましょう。

参考文献

日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ」

MSDマニュアル 接触皮膚炎

アレルギーポータル 接触皮膚炎

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