2023.04.17

湿疹とは?皮膚炎が起こる原因や症状の種類を解説

湿疹とは?皮膚炎が起こる原因や症状の種類を解説

湿疹には赤みやかゆみ、ぶつぶつ、ガサガサなど様々な症状があります。また、湿疹は、手足や胴体など、体の広い範囲に発生する場合もあるため、症状によってはかゆみで睡眠不足になるなど、生活に影響が出てしまいます。
つらい症状を治そうと市販のクリームや塗り薬を塗ってもよくならない経験をされた方も少なくないでしょう。
実は湿疹にはさまざまな種類があり、原因や対処・予防法も異なります。本記事では、湿疹の種類について画像付きでくわしく解説します。

監修
横井彩先生

横井 彩 先生 日本橋いろどり
皮ふ科クリニック
院長

湿疹(皮膚炎)とは?

湿疹(皮膚炎)は体の防御反応が過剰に働くことで引き起こされる皮膚の症状です。湿疹には、赤くなったり、かさぶたのようになっていたり、小さな水ぶくれ(小水疱:しょうすいほう)ができたり、様々な症状が存在します。

湿疹は幅広い意味を持つ用語であり、一般の方と皮膚科医師との間で認識が異なることが多々あります。一般の方は皮膚に出ている何らかの症状を「湿疹」と表現することが多いのですが、皮膚科医師にとっての「湿疹」は疾患名や皮膚に起こっている状態を指して使っています。
このため一般の方が「(皮膚に出ている症状全般を指して)湿疹が出ました」と受診しても、皮膚科医師からは「これは湿疹ではない」となることも多く、混乱を招きやすいのです。

湿疹は体内に入ってきた異物に対して、かゆみのもととなるヒスタミンや、発赤や熱感を引き起こすプロスタグランジンという物質が、活性化されることで発生します。
もともと皮膚には外界からの刺激物質や紫外線などを物理的に遮断して侵入を防ぐ役割があり、それが破られると皮膚免疫が働いて炎症を起こし、外来物を排除します。この防御反応が、湿疹という形であらわれるのです。

湿疹は皮膚炎と同義語とされることが多いですが、原因がわからないことも多く、原因がわからないものを湿疹、原因がある程度特定できるものを「~皮膚炎」と呼ぶのが一般的です。

湿疹の経過と症状

湿疹の経過と症状

湿疹は、皮膚の赤み(紅斑:こうはん)から始まり、皮膚のブツブツ(丘疹:きゅうしん)、水ぶくれ(小水疱)を経過して、やがて膿疱(のうほう)へと進行していきます。
その後、ジュクジュクとした皮膚の傷(びらん)が起こり、かさぶた(痂皮:かひ)となり、うろこ状のゴワゴワとした皮膚がはがれ(落屑:らくせつ)、やがてきれいな肌へと治癒する、という経過をたどります。
実際には、この流れの全てを経るとは限らず、途中で治癒に向かうことも少なくありません。
しかし、湿疹が慢性化すると、肌がゴワゴワしたり(苔癬化:たいせんか)、肌の黒ずみ(色素沈着)となったり、治癒に時間がかかる場合があります。

急性湿疹と慢性湿疹の違い

湿疹(皮膚炎)は症状があらわれてからの期間や症状によって、急性湿疹と慢性湿疹に分けられます。
急性湿疹は赤くブツブツとした状態(丘疹)や、小さな水ぶくれ(小水疱)が特徴で、慢性湿疹では、皮膚が乾燥してゴワゴワした状態になります。それぞれくわしく解説しましょう。

急性湿疹

  • かゆみ
  • 赤み
  • 細かいブツブツ

急性湿疹とは、湿疹(皮膚炎)があらわれてから数日しか経過していないものを指します。ジュクジュクとした赤みや腫れぼったい感じ、水ぶくれ(小水疱)をともなうこともあります。
急性湿疹は、様々な原因で起こります。洗剤など明確な原因がある場合はそれを除去して適切に治療することで症状が改善する場合がほとんどですが、放置すると症状が悪化し、治療が長引く可能性があります。

慢性湿疹

  • 皮膚が分厚く固くなる
  • 皮膚が乾燥している
  • 色素沈着がある
  • ゴワゴワとした手触り

慢性湿疹は、湿疹があらわれてから1週間以上経過したものを指します。
慢性湿疹では、皮膚が厚くなり苔癬化(たいせんか)し、皮膚にふれるとゴワゴワとしているのが特徴です。また、症状が落ち着いたあとに黒ずみなど色素沈着がみられることもあります。
慢性湿疹の場合、治療方法は急性湿疹と同様ですが、完治までにより時間がかかります。そのため、症状があらわれたら放置せず、早めに治すことが大切です。

発疹・かぶれ・蕁麻疹の違い

湿疹と混同されやすい言葉として「発疹」があります。また、湿疹(皮膚炎)と紛らわしい症状を指すものに「かぶれ」・「蕁麻疹(じんましん)」があげられます。それぞれの違いについて解説します。

発疹とは

湿疹と混同されやすい言葉として「発疹」があります。発疹は症状ではなく、皮膚に何か出ているもの(皮疹)のうち比較的急速に出たものを指す言葉です。

かぶれとは

かぶれは医学的には、湿疹の中でも「接触皮膚炎」という皮膚炎のことを指す言葉です。
接触皮膚炎とは、化粧品、毛染め、虫、食物、金属、植物など外的刺激にふれることであらわれる皮膚の防御反応による皮膚の炎症を指します。
湿疹とかぶれの違いは以下の通りです。

名称 特徴
湿疹 何かしらが原因となり、皮膚の状態が変化したもの
かぶれ 何かしらが原因となり、原因物質にふれた部位にかゆみや痛み、赤み、腫れが起きる

蕁麻疹とは

蕁麻疹(じんましん)は、皮膚の一部が突然赤くくっきりと盛り上がる症状をともなう病気です。原因がわからないことが多く、数分~数時間で消えるのが特徴です。多くの場合、かゆみをともないますが、チクチクとしたかゆみに似た感じや焼けるような感じをともなうこともあります。

湿疹が起こる原因は?

湿疹が起こる要因の一つとして、洗剤や洗浄料などの薬剤や、花粉やほこり、カビなど、刺激物質が肌にふれることによって引き起こされるのではと考えられます。

湿疹の種類

湿疹はあらわれる部位や状態によって、さまざまな種類があります。くわしく解説しましょう。

湿疹の種類

手湿疹(主婦湿疹)

手湿疹は、様々な原因により手指にあらわれる湿疹のことです。水仕事が多い主婦にみられることから「主婦湿疹」とも呼ばれています。ほかにも薬剤を扱う医療関係者や美容師などでもよくみられるのが特徴です。
部位としては、利き手の指先、手のひら、爪まわりによくあらわれます。長期間おさまらない場合、皮膚が厚く表面にしわが深く、くっきりとつく苔癬化(たいせんか)となってしまい、全体が赤く腫れたようになります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみをともなう湿疹が出たり、おさまったりすることをくり返す疾患の名前です。小児期だけでなく、成人以降の20代~60代に発症する人も少なくありません。
アトピー性皮膚炎は、先天的な肌質(乾燥やバリア機能異常)に、様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じるとされます。
アトピー性皮膚炎は、症状の重症度によって軽微~重症の4つに分類され、重症度に応じて、適切な外用薬の強さを検討する必要があります。

アトピー性皮膚炎とステロイド外用薬の強さ

  • 軽微(炎症症状に乏しく乾燥している状態):ステロイドを含まない外用薬を選択
  • 軽症(乾燥および軽度の紅斑・鱗屑などが主体):ミディアム以下のステロイド外用薬を選択
  • 中等症(紅斑・鱗屑・少数の丘疹・掻破痕などが主体):ストロングないしミディアムのステロイド外用薬を選択
  • 重症(苔癬化・紅斑・丘疹の多発・多数の搔破痕などが主体):ベリーストロングもしくはストロンゲストを選択

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂が過剰に分泌することで起こる皮膚炎です。小鼻の脇や、ほうれい線などの皮脂が出やすいところに発生します。
症状としては、はじめのころは脂っぽいブツブツ(丘疹)とした湿疹が出ますが、次第に黄色味を帯びたかさぶた状に変化したり、ぽろぽろと落ちたりします。見た目は接触皮膚炎と似ていますが、点状の湿疹は見られません。
脂漏性皮膚炎の原因は、乳幼児であれば皮脂の分泌増加による一時的な皮膚炎と考えられますが、大人の場合は、皮膚の常在真菌「マラセチア菌」が関係しているといわれています。予防として、適切な洗浄や油分の多くない保湿を行うなどと意識するのが大切です。症状がひどい時には皮膚科で治療を受けましょう。

接触皮膚炎(かぶれ)

湿疹のなかでも、接触皮膚炎(かぶれ)は、原因物質との接触によって起こる皮膚炎のことで、何かしらの物質と接触することに対する皮膚の防御反応のひとつです。アレルギー性の接触皮膚炎で、その原因となる物としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 植物(うるしやマンゴーなどの、うるし科の植物、菊、アロエなど)
  • 金属(ニッケル、クロム、コバルトなど)
  • 化粧品(化粧水や乳液、クリームなどの基礎化粧品、シャンプーなど)
  • 染毛剤(白髪染めやヘアカラー剤、消えるタトゥーなどに用いるパラフェニレンジアミンなど)
  • 薬品類(外用薬(ぬり薬)、湿布薬、点眼薬など)

症状としては、原因物質がふれた場所が赤くなったり、かゆみや腫れを生じたりするのが一般的です。また、小さなブツブツ(丘疹)や水ぶくれ(小水疱)ができる場合もあります。 ちなみに、乳幼児が注意したい接触皮膚炎として、おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)があります。おむつかぶれは排泄物の刺激や、おむつ内の蒸れによるバリア機能低下などで起こります。予防のためには、こまめにおむつを替えるようにしましょう。

皮脂欠乏性湿疹

湿疹の中でも、皮脂欠乏性湿疹(ひしつけつぼうせいしっしん)は、カサカサとした肌が特徴です。年代的に高齢者にあらわれやすく、湿度の低い冬に悪化しやすいとされています。皮脂の少ないひざから足首にかけてよく見られます。
皮脂欠乏性湿疹は、加齢や洗いすぎなどの刺激を背景に皮脂や汗の分泌が減少した肌の乾燥状態に、バリア機能低下や外的刺激などの要因が加わり湿疹をともなったものです。
保湿を行うことで改善することもありますが、治りづらい場合は悪化する前に受診してください。

汗疱・汗疱状湿疹・異汗性湿疹

汗疱(かんぽう)は汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)や異汗性湿疹(いかんせいしっしん)とも呼ばれており、汗が原因となって起こる湿疹のことです。汗が皮膚の中にたまり、炎症を起こすことでかゆみを引き起こします。手のひらや足の裏にできやすく、手湿疹を併発することもあります。
チョコレートなどの食品に含まれるニッケル・クロム・コバルトなどの金属によるアレルギー反応も含まれるといわれていますが、原因の多くは不明です。汗をかきやすい季節に悪化しやすく、症状が治まったあとも再発しやすいため、丁寧なケアが必要です。

貨幣状湿疹

湿疹の中でも、貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)は、1~5cmほどの丸い貨幣のような湿疹が四肢や腰などにあらわれるのが特徴です。冬にできやすく、痒みが強いため、かきむしることで跡が残ったり、全身に広がったりして自家感作性皮膚炎に移行することもあります。
症状としては、かゆみが強く、ジュクジュクとしたブツブツ(丘疹)があつまっており、角質がはがれたり、かさぶたになったりすることもあります。
貨幣状湿疹には、金属によるかぶれや虫刺されなどが原因で起こることもあり、最初は通常の湿疹の症状だったものが貨幣状湿疹へ移行するケースがあります。

自家感作性皮膚炎

自家感作性皮膚炎(じかかんさせいひふえん)は、もともと出ていた湿疹がおさまらず、1週間~数週間あとに、急にかゆみをともなうブツブツ(丘疹)や、赤み(紅斑)などが全身に多発する湿疹です。また、体内での反応によって、発熱や倦怠感などの全身症状が出現することもあります。
自家感作性皮膚炎は、単なる湿疹の悪化ではなく、悪化・長引いた湿疹によって、何らかのアレルギー反応のような事が起きて、他の部位にも皮膚炎が発症することをいいます。一般的には、珍しい皮膚炎です。

汗疹(あせも)

汗疹(あせも)は、首や胸、わきの下などの汗をかきやすいところにできる湿疹です。
汗疹の原因は、汗の出口のつまりです。汗腺の外に漏れ出た汗が、周辺の組織に影響するために生じます。汗腺のどの部位がつまるかで「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」「深在性汗疹(しんざいせいかんしん)」に分類されます。
水晶様汗疹は、かゆみも炎症もなく、数日で消えてなくなるのが特徴で、角層内あるいは角層直下がつまって起こります。紅色汗疹は表皮内がつまっているものを指し、高温多湿の環境、乳児などによくみられるもので、赤みとかゆみのある湿疹ができます。深在性汗疹は皮膚の深い層である真皮に汗がたまるため、ゆるやかなふくらみのある湿疹がまだらにできるのが特徴です。

湿疹の対処・予防法は?

湿疹があらわれたときの対処・予防法について解説します。

原因の除去

湿疹が何かにふれたりすることで起きたなら、原因物質そのものを避けることで予防が可能です。
例えば、汗が原因で湿疹があらわれるなら、空調や衣服を調整しましょう。シャワーで洗い流したりおしぼりで拭いたりすることも効果的です。
また、洗い物による手湿疹の場合は、ゴム手袋の着用など、皮膚に刺激が加わらないような生活を心がけましょう。

スキンケア

湿疹の予防対策には、スキンケアも有効です。
石けんをよく泡立てて、たっぷりの泡でやさしく洗ったら、洗浄成分が肌に残らないようにしっかりとすすぎます。石けんは「敏感肌用」や「低刺激」のものを選ぶとよいでしょう。
全身の肌の乾燥を感じるときは、保湿成分が配合された入浴剤を使用するのもおすすめです。入浴・洗顔後は保湿剤などで肌の水分量を補うことで、皮膚のバリア機能の低下を防げます。

スキンケア

薬物療法

湿疹には、薬物療法として「ステロイド外用薬」を用いることがあります。「ステロイド」のイメージとして、骨粗鬆症や糖尿病などの副作用のリスクについての心配をされている人もいるかもしれませんが、ステロイドの塗り薬でこれらの副作用が起きるリスクは非常に低いです。
ステロイド外用薬は、使用する部位や作用する強さによって、正しく選択する必要があるため、もし、ステロイド外用薬を購入する場合は、薬剤師へ湿疹の症状や使用したい部位を相談すると良いでしょう。
また、ステロイド外用薬を使用する前に、必ず説明書を読んだり、薬剤師の説明を把握したりと、正しい使い方について理解することが重要です。
市販のステロイド外用薬を使用しても治りにくい場合は早めに皮膚科専門医を受診しましょう。

薬物療法

かゆみはかかずに冷やす

湿疹のかゆみに耐えられずに、皮膚をかいてしまうと、さらに湿疹が悪化してしまいます。
かゆみが出てきたら、かかずに皮膚を冷やしましょう。冷やすことで冷たい刺激が神経の活動を抑えて、かゆみを軽減できます。ただし冷たすぎてはいけません。氷や保冷剤を使う場合は直接当てずに必ず布でくるんでから使用、また冷たいおしぼりを利用する方法もあります。冷やしすぎると、冷却をやめた後により痒みを強く感じることもあるので、冷やし過ぎには注意しましょう。

かゆみはかかずに冷やす

湿疹が長引くなら皮膚科の受診を検討しよう

湿疹は、長引くと慢性化して治りが悪くなる可能性があります。そのため、湿疹の症状があらわれたら、早めに対策をとることが大切です。
なお、市販薬やスキンケアなど、あらゆる方法を試しても湿疹がおさまらなかったり、くり返したりするときは、最寄りの皮膚科の受診を検討しましょう。

参考文献

厚生労働省科学研究費研究班「アトピー性皮膚炎の症状の制御及び治療法の普及に関する研究」

佐藤貴浩,痒疹診療ガイドライン,2020,日本皮膚科学会雑誌,2020年,130巻,7号,p. 1607-1626.

日本皮膚科学会.皮膚科Q&A.“かぶれ”.日本皮膚科学会. (2023-01-18).

日本皮膚科学会,手湿疹ガイドライン,日本皮膚科学会雑誌,2018年,128,巻,3号,p. 367-386.

清水宏.あたらしい皮膚科学:第3版.中山書店.2018年.

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