2023.04.17

ステロイド外用薬(塗り薬)とは?効果や強さ、副作用などを解説

ステロイド外用薬(塗り薬)とは?効果や強さ、副作用などを解説

ステロイドは、肌のかゆみや赤みなどの湿疹に使用すると、肌のかゆみや炎症の広がりを抑えられる製品です。
ステロイド外用薬には、作用の強さに段階があります。しかし、成分や効能が強いステロイド外用薬を使えばいいというわけではなく、塗る部位や症状にあわせて、適切なものを選ぶのが大切です。
本記事では、ステロイド外用薬の効果や強さ、正しい塗り方について解説します。市販で購入できるおすすめのステロイド外用薬も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

監修
横井彩先生

藤巻 あいら 先生 今泉スキン
クリニック所属

ステロイド外用薬(塗り薬)の効果とは?

ステロイド外用薬の効果は以下の通りです。

抗炎症作用 炎症を起こす物質の産生を抑制する
免疫抑制作用 抗体の産生を抑制して、
免疫の働きを弱める
細胞増殖抑制作用 炎症を起こす細胞の増殖を抑制する
血管収縮作用 患部の血管を収縮させて赤みを鎮める

ステロイド外用薬には、かゆみや赤みの原因となる物質の産生を抑えてくれる抗炎症作用や免疫抑制作用などの効果があります。
また、ステロイド外用薬を適切に使用すれば、糖尿病や副腎不全、顔がパンパンに腫れてしまうムーンフェイスなどの、内服薬で見られる全身に生じる副作用は起こりにくいとされています。
炎症の度合いや、発生している部位にあわせて、適切なステロイドを選択するのが大切です。

ステロイド外用薬(塗り薬)の強さを一覧化!
市販で購入できるのはどこまで?

ステロイド外用薬は、作用する強さによって5段階に分類されています。

  • 1. 最も強い(Strongest)
  • 2.とても強い(Very Strong)
  • 3.強い(Strong)
  • 4.普通(Medium)
  • 5.弱い(Weak)

ドラッグストアなどで購入できる市販のステロイド外用薬は、「弱い(Weak)」「普通(Medium)」「強い(Strong)」の下から3つまでです。 作用の強い「とても強い(Very Strong)」や「最も強い(Strongest)」は、取り扱いに医師や薬剤師などによる専門家の管理が必要となるため、皮膚科の受診が必要となります。
ドラッグストアなどでステロイド外用薬を購入する場合は、強いものを選べばいいわけではありません。ステロイド外用薬は、炎症の重症度や患部によって作用する強さを選ばないと、副作用が出たり、症状が長引いたりする可能性があるので、薬剤師、または登録販売者に相談するのが適切です。
また、以下では、皮疹の重症度とステロイド外用薬の作用の強さをまとめています。例えば、皮膚がジュクジュクとしていたり、肌がごわごわしていたりする場合は、市販のステロイド外用薬では作用が弱いかもしれません。皮膚科で症状にあわせた薬の処方をしてもらいましょう。

皮疹の重症度 外用薬の選択
重症 高度の腫脹/浮腫/浸潤ないし苔癬化をともなう紅斑、丘疹の多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の搔破痕、痒疹結節などを主体とする 必要かつ十分な効果を有するベリーストロングのステロイド外用薬を第一選択とする。ベリーストロングでも十分な効果が得られない場合は、その部位に限定してストロンゲストを選択して使用することもある
中等症 中等度までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、搔破痕などを主体とする ストロングないしミディアムのステロイド外用薬を第一選択とする
軽症 乾燥および軽度の紅斑、鱗屑などを主体とする ミディアム以下のステロイド外用薬を第一選択とする
軽微 炎症症状に乏しく乾燥症状主体 ステロイドを含まない外用薬を選択する

※アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021より引用

ステロイド外用薬(塗り薬)の正しい塗り方

ステロイド外用薬(塗り薬)の正しい塗り方

ステロイド外用薬を塗る目安は、軟膏やクリームの場合、成人の人差し指の第一関節くらいの量(約0.5g)で、成人の手のひら2枚分くらいの面積となります。使用量は、患部の大きさにあわせて、これを基準に調整します。
なお、絞り出した量が約0.5gになるのは25gや50gの大きいチューブです。5gのチューブでは、人差し指の先端から第一関節までを2回絞り出した量が約0.5gとなります。
指に取ったステロイド外用薬は、炎症部分にいきわたるようにちょんちょんと置くように付け、しわに沿ってやさしく伸ばすのが大切です。
また、皮膚の赤みが取れても、指でつまんでまだ固いと感じる部分は、ステロイド外用薬を継続する必要があります。赤みが消えても皮膚が固い状態でステロイド外用薬をやめてしまうと、かゆみが再発してしまう可能性があります。

ステロイド外用薬(塗り薬)を
塗るタイミング

ステロイド外用薬は、用法・用量に従い適切に使用しましょう。
炎症が鎮まってきた後は、保湿によるスキンケアを主として、かゆみが強い部位のみにステロイド外用薬を使用します。さらに症状が落ち着いてきたら、ステロイドを含まない保湿剤を中心としたスキンケアへと切り替えるといいでしょう。
炎症が治まったからとスキンケアやステロイド外用薬の使用を怠ってしまうと、皮膚の炎症を繰り返してしまうためです。

ステロイド外用薬(塗り薬)の
使用期間の目安

疾患の種類によりますが、ステロイド外用薬の使用期間の目安は数日~1週間程度です。そのあとは、間隔を空けたり休薬期間を設けたりして、徐々に使用を減らしていきます。
塗り薬を使用している期間中は、皮膚を清潔に保ちつつ規則正しい生活をおくりましょう。なるべく刺激の少ない衣服を着用するのがおすすめです。
また、炎症が落ち着いてもすぐに塗るのを中止せず、症状を見ながら徐々に減らす、もしくは間隔を空けて使用するようにしましょう。赤みがなくなった段階で使用をやめると、すぐにかゆくなり症状が再発してしまいます。
ただし、明らかに副作用が出ている場合や、症状がひどい場合は、医師の指導のもと適切に治療を続けましょう。

ステロイド外用薬(塗り薬)の部位ごとの吸収率

ステロイド外用薬は、身体の部位によって吸収率が異なります。
ステロイド外用薬の吸収率は、皮膚の薄い場所ほど上がるため、首や顔、陰部などに作用の強いステロイド外用薬を使用すると、局所的な副作用が出る可能性があります。
一方、手や足などの皮膚が厚いところは、ステロイド外用薬の吸収率が低いのが特徴です。そのため、弱い作用のステロイド外用薬を使っても皮膚症状が改善されず、ステロイドの使用期間を長引かせる結果となります。
短期間で皮膚症状を改善させ、副作用が生じる危険性を軽減するには、適切な作用のステロイドを選択するのが重要です。

ステロイド外用薬(塗り薬)の副作用は?

長期にわたって効果の強いステロイドを使用したり、皮膚が薄いところに使い続けたりすると、稀に以下のような局所的な副作用が生じることがあります。

  • 毛包炎
  • ニキビ(ステロイドざ瘡)
  • 白癬(水虫)
  • 皮膚萎縮
  • 紫斑(しはん)
  • 毛細血管拡張症
  • 多毛
  • 色素脱失(しきそだっしつ)
  • 酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)

正しいランクで正しい量を使えば、副作用を過剰に心配する必要はありません。また副作用があらわれた場合は、すぐに使用を中止し、医師、薬剤師、または登録販売者に相談してください。
ステロイド外用薬の副作用が心配だからと、つらい症状を抑えられない弱いステロイド外用薬を使ってしまうと、使用期間が延びて副作用のリスクを高めてしまいます。症状にあわせた適切なステロイド外用薬を選択しましょう。

有効性と安全性を考えて設計されたアンテドラッグステロイドを検討しよう

アンテドラッグステロイドは、炎症部位への効果が高く、有効性と安全性を考えて設計された薬です。
湿疹や皮膚炎などの炎症部位へアンテドラッグステロイドを塗ると、患部で抗炎症作用が働き、つらいかゆみを和らげてくれます。また、体内では分解されて、ステロイド作用が穏やかになるのが特徴です。
市販で購入できる製品もあるので、以下を参考に、症状や部位にあわせて適切なタイプを選びましょう。

  • ジュクジュクした湿潤型の患部:軟膏タイプ
  • 乾燥しているカサカサ型の患部:クリームタイプ/軟膏タイプ
  • 頭皮などの有毛部位:ローションタイプ

アンテドラッグステロイドとステロイドの違い

アンテドラッグステロイドとステロイドの違いは、副作用のリスクにあります。
アンテドラッグステロイドは、患部で効果を発揮した後、速やかに代謝されるので、有効性と安全性を考えて設計されています。
一方、ステロイドは、作用が強い製品を長期的に使ったり、指示された以上の量を塗ったりしてしまうと、局所もしくは全身に望ましくない作用を示すこともあります。

ステロイド外用薬(塗り薬)のQ&A

ここからは、ステロイド外用薬に関するQ&Aをご紹介します。

ステロイド外用薬(塗り薬)はニキビへの効果はある?

ステロイド外用薬は、ニキビへの効果はありません。
ステロイド外用薬を顔などの皮膚が薄い部位へ長期使用すると、皮膚の免疫力が低下して、かえってニキビができやすくなります。

ステロイド外用薬(塗り薬)の長期使用に問題はある?

ステロイド外用薬は、毎日使うなどの長期使用をすると皮膚が薄くなって、炎症が生じやすくなってしまったり、あざができたりする可能性があるため注意が必要です。
しかし、決められたステロイドの強さや使用量を守っている限り、ステロイドだから副作用があると構えすぎる必要はありません。

ステロイド外用薬(塗り薬)で太るって本当?

ステロイド外用薬で太る可能性はないといえるでしょう。
ステロイドの内服や点滴を大量投与した場合、まれに顔がパンパンに腫れるムーンフェイスや糖尿病などの副作用を生じることは考えられますが、ステロイド外用薬は、毛細血管内に入るのはわずかなため、ステロイドの内服や点滴静注とは異なります。

参考文献

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会.日本皮膚科学会ガイドライン 日皮会誌,2021年,131巻,13号, p.2691-2777

栗原和幸.総説 アトピー性皮膚炎治療におけるステロイド外用剤(疾病のステージを考慮したステロイド外用剤の積極的使用),日本小児アレルギー学会誌,2003年,第17巻,第5号. P 519-525

大槻 マミ太郎.特集 アレルギー疾患におけるステロイド薬の局所療法-作用メカニズムと使い方
2.ステロイド外用薬の作用メカニズム),2016年,小児科,57巻,4号,p 329-334

古江 増隆.5.ステロイド外用薬の使い方 : コツと落とし穴(V.アレルギー疾患におけるステロイドの使い方,専門医のためのアレルギー学講座),アレルギー, 2009年,58巻,5号,p.491-497

相馬 良直.ステロイド外用剤の使い方-正しい知識を持って上手に使おう-,第58回東京都皮膚科医会学術集会,J.JOCD Vol.24,No.3,2007年, p31

山川 研,益崎 裕章.特集●ステロイドホルモンと脂質代謝─最近の進歩と臨床の新展開─ (9. ステロイド薬を用いると きに気をつけるべき脂質 代謝異常),The Lipid Vol.23 No.1,2021年, p74-79

TOPへ戻る