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胃もたれ・はきけ・二日酔いのお話

胃を元気にする生薬

胃もたれやはきけ、二日酔いに効果のある薬には健胃生薬を配合したものがあります。健胃生薬とはその名の通り、胃の機能(運動、分泌、消化)を促進して、胃を元気にする生薬のこと。ここでは主な健胃生薬についてご紹介します。

生薬 イメージ

苦みと香りで胃を元気に

健胃生薬は、その特徴により苦味(くみ)健胃生薬と芳香性健胃生薬に大きく分けられます。

苦味健胃生薬とは、苦みによって、胃の機能を促進させる生薬のこと。代表的なものとしては、お湯で千回振り出し(煎じ)てもまだ苦みが残る、ということから名付けられたセンブリや、真っ黄色の苦み成分を含むオウレン(黄連)などがあります。

芳香性健胃生薬は、独特の芳香によって、胃の機能を促進させる生薬のこと。代表的なものとして、香辛料やハーブとしても使われているハッカやケイヒ、サンショウ、ショウキョウなどがあります。

また、苦味健胃生薬・芳香性健胃生薬以外にも、胃や腸、肝臓などにはたらく生薬が配合されることもあります。

苦い薬 イメージ

胃腸薬に配合される主な生薬

生薬の種類生薬名基原・特徴
苦味健胃オウレン根茎を用いた生薬で、味は極めて苦く、なめると舌が黄色く染まるほど黄色い成分(オウバクと同じもの)を含んでいます。
センブリセンブリという草を、花が咲く前に採取して乾燥させた生薬で、においはほとんどありません。
オウバクミカン科の樹木の樹皮です。味は極めて苦く、なめると舌が黄色く染まるほど黄色い成分(オウレンと同じもの)を含んでいます。
芳香性健胃ハッカシソ科の植物で、主成分は強い香りと清涼感をもつメントールです。ミントとしても知られています。
ケイヒクスノキ科シナニッケイなどの樹皮を用いた生薬です。シナモンとしても知られ、味には甘味や辛味があります。
サンショウミカン科サンショウの成熟した果皮で、果皮から分離した種子をできるだけ除いたもの。辛く、舌を麻痺させる香辛料の山椒としても知られています。
ショウキョウショウガ科ショウガの根茎で、ときに周皮を除いたもの。いわゆる生姜で、食材や香辛料としても知られています。
ウイキョウセリ科ウイキョウの果実。漬物やソースの風味添えなどに使われる、独特の香りをもつハーブ、フェンネルとしても知られています。
チョウジフトモモ科チョウジ(丁字)の花のつぼみです。ハーブのクローブとしても知られています。
チンピミカン科ウンシュウミカン(一般的に食べられる温州みかん)の成熟した果皮を乾燥させたものです。
モッコウキク科の植物の根で、名前に「香」がついているように、特異な香りがあります。味は苦いです。
ウコンショウガの仲間であるウコンの根茎です。ターメリックとも呼ばれ、カレー粉やたくあん漬などの黄色い着色料として使用されます。
ソウジュツキク科の植物の根(根茎)です。特異な香りと、わずかな苦味があります。
その他ニンジンウコギ科オタネニンジンの細根を除いた根、またはこれを軽く湯通ししたもの。高級な滋養強壮生薬である、チョウセンニンジンとして知られています。
コウジンウコギ科オタネニンジンの皮を剝かずに蒸して、赤褐色になったものです。チョウセンニンジンは、皮の部分に栄養素が多く含まれているとされています。
カンゾウマメ科カンゾウの根と根茎です。炎症を抑えたり、たんを切ったりするはたらきのある生薬で、胃腸薬以外にも幅広く使用されています。
ゲンノショウコフクロソウ科ゲンノショウコの地下部です。味は渋く、わずかにニオイがあり、整腸作用のある民間薬として知られています。
ゴシュユミカン科の木の果実です。独特の香りがあり、辛味と、舌に残る苦味があります。

飲みやすい液体胃腸薬

健胃生薬を配合した胃薬は粉薬が多いのですが、飲みやすいようにオブラートに包んだり服薬ゼリーを使ったりすると、苦みや香りの刺激が弱まってしまい、十分な効果が発揮できないことがあります。

「でも、粉薬を飲むのは苦手…」という人におすすめなのが、液体胃腸薬。液体のほうが粉薬よりも「煎じ薬」に近いので、苦味や香りをきちんと感じながら飲むことができます。また、どうしても味が苦手な人には、健胃生薬の特徴を生かしながら、サラッと飲みやすいように味を整えたものもあります。飲みきりタイプなので、時間や場所を選ばずにサッと服用できますし、液体なので吸収の速さも期待できます。

胃に元気がないと、心も体もツライもの。ご自分に合った胃腸薬を見つけると、お付き合いが多いシーズンも、ほんの少しラクになるかもしれませんよ。

液体胃腸薬を飲むイメージ

【参考】

「生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンスについて」(平成27年 厚生労働省)
「漢方294処方 生薬解説」(じほう)
「漢方薬と民間薬」(西山英雄 著:創元社)
「身近な漢方薬材事典」(鈴木昶 編:東京堂出版)