2023.04.24

【医師監修】ひざの黒ずみの原因とは?消す・治す方法とともに解説

【医師監修】ひざの黒ずみの原因とは?消す・治す方法とともに解説

ひざの黒ずみは、意外と目につきやすいため、滑らかできれいな脚を目指したいという方も多いでしょう。
しかし、ひざの黒ずみを治したいと思っていても、原因や正しい対策方法がわからないと、
一時的に良くなったとしてもまた繰り返してしまい、なかなか治せないままになってしまうでしょう。
この記事では、ひざの黒ずみの原因や、悪化させるNG行動について解説します。
また、簡単に取り組める黒ずみを消す方法や・治す方法についても紹介するので、
日ごろのスキンケアにぜひ取り入れてみてください。

監修
藤巻あいら先生

皮膚科医・美容皮膚科医
今泉スキンクリニック
藤巻 あいら 先生

ひざの黒ずみがひどい…原因は?

摩擦による刺激

摩擦による刺激

ひざの黒ずみが発生してしまう原因のひとつが、摩擦による刺激です。
ひざは、衣服や地面などと摩擦が生じやすい部分のため、ひざに摩擦や圧迫による外的刺激が加わると、内部で炎症が発生し、色素沈着の原因となります。
また、炎症から肌を守るために角質が厚くなり、皮膚がゴワつくことで肌が黒ずんで見えることもあります。

紫外線の影響

紫外線の影響

ひざの黒ずみができてしまう原因として、紫外線による影響で、肌が黒ずんでみえる場合もあります。
黒ずみの原因であるメラニン色素は、紫外線を吸収して表皮細胞のDNAを守る役割を担っています。そのため、紫外線を多く浴びることでメラニン色素が過剰に分泌されるのです。分泌されたメラニン色素が正常に排出されずに肌に残ることで、色素沈着につながります。
ひざだけが紫外線による影響を受けるわけではないものの、脚を露出することが多い春や夏は、UVケアを欠かさずに行うことが大切です。

ターンオーバーの乱れ

ターンオーバーの乱れ
古い角質が蓄積されている(イメージ図)

ひざの黒ずみは、ターンオーバーの乱れによっても引き起こされます。
肌の細胞は、表皮の最下層にある基底層で生成されます。そして、古い細胞は角質となり、徐々に押し出されることで剥がれていきます。この肌細胞が生まれ変わるサイクルが「ターンオーバー」です。
メラニン色素の生成と排出は、肌のターンオーバーが正常であることで、バランスよく行われます。しかし何らかの原因でターンオーバーが乱れると、メラニン色素が排出されずに肌に蓄積されやすくなるのです。
肌のターンオーバーが乱れる原因は、生活習慣や食生活、ホルモンバランスの乱れ、加齢などがあります。また、ひざは、皮脂や汗がほとんど出ないため乾燥しやすいことも、ターンオーバーが乱れる原因のひとつといえます。

ひざの黒ずみを悪化させるNG行動

タオルやスポンジなどで強く擦る

ひざの黒ずみを悪化させるNG行動

ひざの黒ずみが発生するNG行動としては、体を洗う際に肌を強い力で擦ることが考えられます。
タオルやスポンジで体をゴシゴシ洗うと、肌に摩擦が生じて黒ずみの原因になるので避けましょう。肌の摩擦をなるべく減らすためには、たっぷりの泡を使って手洗いが理想的です。
ナイロンタオルなどの摩擦によって、「摩擦黒皮症」と呼ばれる茶色や黒色の色素沈着が生じるケースもあります。
また、肌のゴワゴワが気になるからといって、軽石ややすりなどで削るといった行為は、おすすめできません。削られた皮膚は、自らバリアを張ろうとしてより角質を溜めようと働き、ごわつきや、黒ずみを悪化させる原因となります。

よくひざをつく

ひざの黒ずみが悪化してしまう生活習慣として、床にひざをつく行為が考えられます。
ひざをつく癖や習慣がある方は、ひざをつくときに生じる摩擦によって黒ずみが生じている可能性があります。
また、よく脚を組んだり、タイツやストッキングを履くことが多かったりすると、皮膚同士や衣服との擦れによって、黒ずみが生じやすいので注意が必要です。

誤ったムダ毛ケア

誤ったムダ毛ケア

ひざの黒ずみを悪化させる習慣として、ピンセットを使った毛抜きや、毛の流れと逆に沿ってしまう逆さ剃りなど誤ったムダ毛処理があげられます。
誤ったムダ毛処理を行うと、毛穴周辺の表皮や角質層にダメージを与えます。肌が傷つくことで炎症を起こしたり、皮膚の表面に毛が埋もれる「埋没毛」になったりすることがあるのです。
埋没毛は肌への刺激となり、炎症や色素沈着につながることもあります。埋没毛を防ぐためにも、正しいムダ毛ケアを行いましょう。

簡単!ひざの黒ずみを消す・治す方法

ひざの摩擦を減らす

ひざの摩擦を減らす

ひざの黒ずみを治すには、摩擦を減らすことが大切です。座るときに脚を組まない、座布団を敷くなど、日ごろからひざの摩擦を減らすことを意識しましょう。
家事や仕事などでひざをつく機会が多い場合は、ひざ用のサポーターを着用してみてください。衣服は肌への刺激が少ない素材や、ひざ周りにゆとりのあるサイズを選ぶのもおすすめです。
ムダ毛処理をするときは、シェービングフォームをたっぷり使い、毛の流れに沿って剃りましょう。剃刀ではなく電気シェーバーを使うと、肌への負担が軽減できます。

尿素などのスキンケアクリームでターンオーバーを促進する

尿素などのスキンケアクリームでターンオーバーを促進する

ひざの黒ずみを改善するなら、肌のターンオーバーを促進するのが大切です。尿素などの成分が配合されたスキンケアクリームを使うのが効果的でしょう。
尿素は、皮膚表面にある余分な角質を剥がして皮膚を柔らかくする性質があるため、日ごろから使用することで徐々に肌のターンオーバーを正常化できます。
さらに、摩擦によって皮膚や角質が厚くなると、ボディケアクリームなどは肌に浸透しにくくなります。尿素によって角質を柔らかくすることで、スキンケア成分が浸透しやすい肌に近づけられるのです。
さらに尿素には、体内の水分を集めて肌の潤いを保つ「水分保持作用」があるため、乾燥によるターンオーバーの乱れを防ぐことができます。

ボディソープの成分を見直す

尿素などのスキンケアクリームでターンオーバーを促進する

ひざの黒ずみをきれいな状態にするには、ボディソープの成分を見直すのも大切です。
洗浄力が高いボディソープは、必要以上に皮脂や保湿成分を洗い流してしまい、乾燥につながってしまいます。
肌に負担をかけすぎないためにも、肌にやさしいボディソープを選びましょう。セラミド・ヒアルロン酸・コラーゲンなどの保湿成分や、植物由来成分のものを選ぶのがおすすめです。
柔らかいタオルやスポンジでたっぷり泡立て、やさしく洗うよう心がけてください。

生活習慣を見直す

ひざの黒ずみを治すなら、生活習慣の見直しも重要です。
睡眠不足や運動不足などは、肌のターンオーバーが乱れる原因となります。肌の黒ずみ予防・改善のために、日ごろから健康的な生活を心がけましょう。
とくに、食事の観点では、ビタミンCとビタミンEを同時に摂取するのがおすすめです。ビタミンCと一緒にビタミンEを摂取すると、ビタミンCだけを摂取した場合よりも、紫外線ダメージを抑えられます。
また、ビタミンE自体にも、毛穴の周辺を刺激し、肌表面の角層を厚くする「過酸化脂質」の抑制作用などがあるため、きれいな肌を目指すなら意識的に摂取したい栄養素といえるでしょう。

ビタミンC、Eが多く含まれる食品
・ビタミンC:アセロラ、赤ピーマン、緑ピーマン、ゆず、キウイフルーツ、ブロッコリーなど ・ビタミンE:せん茶、ひまわり油、とうがらし、アーモンド、ヘーゼルナッツ、マーガリンなど

皮膚科を受診する

ひざの黒ずみが改善しない場合や、食事や運動などの長期的なケアではなく早く治す方法が知りたいという方は、皮膚科もしくは美容皮膚科を受診しましょう。
黒ずみは病気ではないので基本的に保険適用外となるケースが多いとされています。自費診療で受けられる施術としては、古い角質を剥がすケミカルピーリングや、レーザー照射による角質除去などの治療が考えられます。
ただし、摩擦や乾燥などの黒ずみができてしまう根本を解決できなければ、何度も繰り返してしまうため、普段の生活の見直しと日常的なケアもセットで取り組んだ方がいいでしょう。

参考文献
細川かをり「昭和59年新患黒皮症について 皮膚」
1985年 27巻 4号 p.869-874

小林静子「紫外線B波照射による皮膚障害とその予防・治療−γ-Tocopherol 誘導体塗布の効果−」
YAKUGAKU ZASSHI 2006年 126巻 9号 p.677-693

須賀康「皮膚科医が考えるアンチエイジング--皮膚老化の予防法と対応について」Juntendo medical journal 2006年 52巻 6号

斎藤忠夫「尿素軟膏による角化異常症の治療 皮膚」
1975年 17巻 3号 p.254-262

藤原葉子「モルモットに経口摂取させたビタミンC,L-システイン,ビタミンEの併用による色素沈着抑制効果」
日本栄養・食糧学会誌 2003年 56巻 4号 p.221-228
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