【医師監修】かかとがゴチゴチする原因、おすすめの角質ケア方法解説
気が付いたら、かかとがガサガサしたりゴチゴチしたりして、ひび割れてしまった経験はありませんか?
実は、足裏は古い角質が溜まりやすく荒れやすい部位。
間違ったケア方法だと、かえって悪化させてしまうことも。
皮膚科医おすすめの角質ケア方法でツルツルのかかとを目指しましょう。
東京医科歯科大学
皮膚科臨床准教授
医学博士 皮膚科専門医
高山 かおる 先生
ゴチゴチかかとの正体は、古い角質の蓄積
かかとの荒れは、ケアしてもまたすぐにくり返すので、お手入れが面倒だと思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、かかとがガサガサしたりゴチゴチしていたら見た目も悪いし、靴下や衣服にひっかかって気になりますよね。放っておいたらひび割れて、さらに乾燥が進行すればあかぎれのように出血してしまうこともあります。
かかとのガサガサ・ゴチゴチが起こる原因は、肌のしくみに起因しています。
健康的な皮膚の内部では、古くなった細胞は上に押し上げられて角質となり、剥がれ落ちていきます。この流れをターンオーバーといいます。しかし、なんらかの問題でこのサイクルが乱れて遅くなると古い角質が剥がれることなく表皮に蓄積され、厚く・硬くなってしまいます。これを「
では、ターンオーバーの乱れを生み出す“なんらかの問題”とは一体どんなことでしょう。原因とかかとケアの方法を詳しく見ていきましょう。
かかとのターンオーバーの乱れの原因は?
①乾燥
一番の原因はズバリ乾燥。顔の肌は乾燥すると皮脂を出し水分を調整するのですが、かかと付近は皮脂腺がない部位なので自分で潤す機能が少ないのです。そのため外側から潤いケアをしてあげなければ乾燥を防ぐことは難しいのです。
②加齢
加齢により新陳代謝が低下していきます。もっともわかりやすい例として、若い頃に比べてちょっとした傷でも治るのが遅いと感じることがあるのなら、肌の新陳代謝のスピードが落ちてきている可能性があります。乾燥も進みやすいので、丁寧に保湿ケアをするようにしましょう。
かかと水虫の可能性も!
潤いケアをしても乾燥が治らない、粉を吹いたような状態が続くようなら、かかと水虫の可能性も。
そもそも水虫とは、
ひび割れて痛みを伴う場合やいくらケアしても治らないようでしたら、専用の薬を使用することが大事ですので皮膚科を受診してください。
かかとのゴチゴチを加速するNG習慣
①過度なピーリング、角質を無理に削ること
皮膚は刺激に敏感です。
一度にすべての角質を落とそうと、必要以上に削ってしまうと皮膚が薄くなり傷ついてしまいます。傷ついた皮膚は、自らバリアを張ろうとしてより角質を溜めようと働きます。つまり、皮膚を傷つけるということは角質を溜めやすい体質をつくってしまうということ。ガサガサ・ゴチゴチの手入れをしたいと思っているのに、よりガサガサ・ゴチゴチしやすくなってしまうという悪循環には陥りたくないですよね。
かかとの角質ケアには、皮膚用ヤスリで角質を削り取る方法と、角質軟化剤などを皮膚表面に塗って角質を整える方法があります。こうしたセルフケアは誤った方法で行うと、かえって皮膚を傷つけてしまうので注意が必要です。
推奨する角質ケアについては下記で紹介するケア方法をご参照ください。
②素足で歩く、サイズの合わない靴を履くこと
足裏は自身の全体重を支えているので、毎日相当な刺激を受けています。その刺激に耐えるために角質をつくり、圧を和らげています。
特に、ヒールの高い靴、足のサイズに合わない靴、サンダルなどパカパカするような履物で歩くと足裏への摩擦・衝撃・圧力が増し、より角質が厚くなると言えます。
特に夏になると、家の中では裸足、外でも裸足にサンダルで出歩きたくなりますよね。でもそれ、足裏には過酷な環境なのです。クーラーで足が冷やされ、乾燥した空気にさらされ、地面から直に摩擦を受けることで、足裏にはストレスがかかっています。
夏でも寝る前にはローションやクリームなどで潤いケアをするようにしましょう。
また、小さな子どもを背負って家事をするような場合は自分の体重以上の圧がかかるため、足裏にも負担がかかります。
家の中では保湿力のあるソックスやスリッパを履くこと、外出ではクッション性のある靴底のスニーカーを履くことで圧力をやわらげることができます。小さな子どもを抱いての移動が多い日は、クリーム等で足裏の保湿ケアをし、刺激から保護しましょう。
③乾燥したまま放置すること
かかとの乾燥は何もしなければどんどん進行していきます。お風呂に浸かれば角質はやわらかくなりますが、入浴後保湿をしないままにしていると水分はすぐに蒸発してしまいます。かかとには皮脂腺がなく、自ら水分を調整することが難しい部位なので外から潤いケアをしてあげないと乾燥が進むのは当然です。
乾燥していても特に支障が出るわけではないと思われがちですが、放っておくとさまざまなトラブルに発展します。
乾燥した鏡餅にひび割れが起こるように、乾燥が進んだかかとも衝撃を受けるとひびが入りやすくなります。ひびが深くなるとあかぎれを起こし出血してしまうことも。亀裂した部分から赤い皮膚が見えるほど進行してしまうと、そこから炎症が起こり歩くことも困難になる場合もあります。
なお糖尿病の疾患がある方は、感染症から足の
かかとのゴチゴチにおすすめのケア方法
①適切なターンオーバーを促す習慣を
まずは足の乾燥を防ぐことが第一です。乾燥の軽いうちから、皮膚を保護・保湿するためにクリームを塗ることを習慣にしていきましょう。また、肌のターンオーバーを促すようオイルマッサージなどで血行を良くすると代謝が上がるのでおすすめです。
②適度なピーリング
かかとのピーリングは慎重に行いましょう。圧や頻度が自分の肌に見合っていなければ、皮膚を傷つけてしまい、より角質の溜まりやすい体質になってしまいます。かかとのピーリングはあまり推奨していませんが、自分でケアをするのであれば下記のステップを参考にしてみてください。
一度にすべての角質を取ろうとせず、時間をかけてゆっくり改善していくのが正しいケア方法です。ケアの頻度は、皮膚のターンオーバーにあわせて3週間に1回ほどの手入れを目安にしましょう。ピーリングを行わない日でも、保湿は毎日してください。
③クリームでの保湿ケア
かかとの角質は他の部位より分厚く、保湿因子も溜めにくい構造をしています。そのため角質をケアできる保湿力の高いクリームを選ぶとよいでしょう。尿素などが含まれるクリームも有効と言えます。
尿素には主に2つの特長があります。1つは皮膚表面の余分な角質を溶かし柔らかくして浸透する力があること。もう1つは体内の水分を集めて肌の潤いを保つ働きがあることです。かかとのように自ら水分をコントロールすることのできない部位へは、オイルや乳液など表面の保湿だけではなく、皮膚内部に浸透して潤してくれる成分が非常に有効です。尿素が含まれるクリームを塗ったら靴下でしばらく保湿するとさらに効果を高めてくれるはず。
ただし、ひび割れが起きている場合は染みることがありますので使用を控えてください。
セルフケアで症状が改善しない場合や、ひび割れが起きている場合、乾燥が治らない場合は自己判断せずに早めに皮膚科へご相談ください。
- 参考文献
- 『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア』高山かおる著 マキノ出版