メンタルが爪に与える影響って? 地爪ケアのプロに学ぶ、爪とメンタルの関係

健康的な爪を保つには、日々の生活習慣が深く関わっています。では、健康で丈夫な地爪を目指すには日頃どのような生活を送れば良いのでしょうか? 3回にわたる連載では、地爪を育てるための豆知識を日常のシーンに合わせてご紹介します。

第2回目は「地爪とメンタルの関係編」。「健康のバロメーター」とも言われる爪ですが、心の不調やストレスが爪に影響を与えることもあるのだとか。そんな爪とメンタルの意外なつながりについて、前回に引き続きネイルトレーナー塚越真実さんに伺います。

塚越 真実さん
監修 塚越 真実さん
(「地爪ケアクリニックサロン」ネイルトレーナー)

「地爪ケアクリニックサロン代々木」ネイルトレーナー。アスリートから趣味でスポーツをされている方、スポーツとは関係なくもともと爪が弱い方などのお悩みに対するアドバイスが得意。爪についての身近な疑問解決をサポートする。

爪は健康のバロメーター

前回、日頃の栄養状態が爪にも影響することをお伝えしましたが、塚越さんによると、爪を見ればその人の心や体の健康状態まで推し測ることができるのだそう。


● 爪は心身の不調のサインが出やすい
身体には網目のように毛細血管が張りめぐらされていますが、爪の下の皮膚にはとくに集中しています。そのため爪には血液の状態が現れやすく、しかも爪は体の末端にあるので、臓器の不調や過度なストレスなどで血流が滞ると真っ先に影響が現れやすいのです。

すこやかな状態の爪は、表面がなめらかで自然なツヤがあり、薄いピンク色をしています。ところが血行障害が起きると爪に酸素や栄養が届かなくなり、老廃物の排出もスムーズに行われなくなるため、爪の成長に影響が出るだけでなく、爪の色も変化することがあると言われています。


● 体の状態を映す爪の色
「爪の色は、爪の下の毛細血管を流れる血液の状態が映し出されたもの。疲れたり、体調が優れなかったりすると顔色が悪くなるように、爪の色も変化します」と塚越さん。
ここでは代表的な爪の色の変化を教えていただきました。

・白濁
肝疾患や腎不全、糖尿病、栄養不足などの疑い。

・黄色
爪水虫など感染症のほか、リンパ系のトラブル、肝臓・胆管の病気が疑われるの場合も。

・紫色
肺疾患や心臓疾患、悪性の貧血の疑いも。

・赤色
ピンク色を通り越して赤黒くなっている場合は、多血症の疑い。脳血栓や心筋梗塞などにつながる可能性も。

爪の色の変化から疑われる症状

この他、よく見られるのは爪が緑色になる「グリーンネイル」と呼ばれる症状。「細菌の一種である緑膿菌(りょくのうきん)の感染によるもので、爪に何らかの疾患がある場合や、不衛生な状態が続くと起こりやすくなります。
「とくにジェルネイルやスカルプチュア・ネイルなどをしている方は日々のお手入れが大切です」と塚越さん。

爪の色は外傷によっても変化しますが、心当たりがないのに爪に異変がある場合は病気のサインかもしれません。とくに、爪が黒色や赤黒くなる場合は要注意!自己判断しないで、すぐに病院を受診するようにしましょう。

こんなクセありませんか? 爪とメンタルの深い関係

「健康」とは体だけでなく、心の状態も良好であるということ。ここからは「心の不調」が爪に与える影響について見ていきましょう。


● 爪の「横線」
たとえば、爪に横線がある人は、ストレスが影響していることがあります。精神的、肉体的に大きなストレスを受けたとき、自律神経の乱れや血流の低下から爪の根元にある新しい爪を生み出す場所「爪母(そうぼ)」の働きが弱くなります。爪が伸びたとき、その部分が凹んだ横線となって現れるのです。


● 爪噛み・爪むしり
心の不調が「クセ」となって現れることも。
「爪噛み」は、「咬爪症(こうそうしょう)」ともよばれ、幼児期や思春期に見られます。多くは自然になくなりますが、大人になっても続いたり、思春期以降に発症したりする場合があります。
また、かゆみなどの身体症状をともなわないにもかかわらず、爪やささくれを剥がすといった損傷行為を続けてしまう人も。「皮膚むしり症」ともよばれ、悩みを抱える7割以上が女性です。


● 爪噛み・爪むしりの原因は…?
子どもの頃からのクセが継続しているケースもありますが、プレッシャーやコンプレックス、不安やイライラ、欲求不満などメンタルが原因で起きることが多く、「アスリートが試合前のプレッシャーなどから爪噛みをするケースもあります」と塚越さん。


● そのクセを放っておくと…?
爪噛みや爪むしりなどのクセを放置してしまうと、爪の先がギザギザになる、正常な爪が生成されなくなって爪がボコボコと波打つ、傷口から細菌感染して指先が赤く腫れるなど、爪や指先に影響が出る恐れがあります。また、爪が薄く小さくなって指先に力が入りにくくなる、爪の変形が気になり、人目を避けようとして活動が制限されるなど、生活に支障が出ることも。

塚越さんによると、こうしたクセに悩む人は、やめたいけれどもやめられず、そんな自分をさらに責めてしまうという悪循環に陥っていることが多いのだそう。

日々の地爪ケアで爪噛みグセを改善!

では、こうしたクセを改善するには、どんな対策・ケアができるのでしょうか。
塚越さんがおすすめするのは「地爪をケアすること」。
「爪にギザギザやささくれがあると、気になっていじりたくなってしまいます。そこで、爪をケアしていつもきれいな状態にしていれば、爪をいじりたい衝動が起きにくくなります」

● 地爪ケアのポイント
ポイントは、爪をいじりたくなったとき、代わりに爪にオイルやクリームなどを塗ることで、爪をいじる行為をケアする行為へと転換すること。そうすることでクセが少しずつ出にくくなり、爪もきれいになっていきます。
ケアの順番は、爪の周りにオイルを塗った後、手肌にハンドクリームを。「『浸透補修液』などのケア用品を使うのもおすすめです。弱った爪をいたわり、その後にオイルやクリームで保湿するのがベストですが、大事なのはケアを継続すること。まずは1日1回で構いません。自分のペースで少しずつクセを改善していきましょう」

爪は顔と同じようにセルフイメージに大きくかかわるパーツ。それだけに「傷んだ爪そのものが心にストレスやダメージを与えてしまうこともある」と塚越さんは言います。
「爪噛みや爪むしりといったクセに悩む方は、傷んだ爪を恥ずかしがって人前で隠そうとすることも少なくありません。でも、爪がきれいになると心も元気になって表情まで明るく別人のようになります。爪をケアすることが、実は心のケアにもつながるのですね」

忙しい日々の合間に、簡単リフレッシュ法ですこやかな爪と心に

すこやかな爪は、心と体のバランスが整っていることの証。日頃からストレスケアを心がけることが何より大切です。
ストレスは自律神経を乱し、さまざまな不調を招いて爪トラブルのもとにもなります。毎日の仕事や家事の合間に上手に気分転換を取り入れるようにして、疲れやストレスを溜め込まないようにしましょう。そこでおすすめしたいのが、誰でも気軽にできる「爪もみ」と「水かき部分のマッサージ」です。

● 爪もみ

爪の生え際にある「井穴(せいけつ)」とよばれるツボを刺激すると、自律神経のバランスが調整されるとされています。リラックス効果に加え、血行が良くなるので冷え性の改善も期待できますよ。ただし、薬指は緊張を高める交感神経につながっているので強く刺激しないようにしましょう。

爪の生え際の両サイドを人差し指と親指でつまみ、痛気持ちいいくらいの強さで押す。
指1本につき10~20秒が目安。爪の上と指の腹を人差し指と親指ではさむように押すのもおすすめ。

● 水かきマッサージ

指と指の間の「水かき」部分にもストレスケアに有効なツボがあります。手の甲側から軽く押すことで疲れがやわらぎリラックスできますよ。

ストレスフルな現代社会に生きる私たち。爪に意識を向けることは、自分の心と体の健康を守ることにつながります。忙しい毎日も生き生きと過ごせるように、まずは地爪ケアを習慣にしていきたいですね。
ただし、爪やメンタルの症状で気になることがあったら自己判断せず、まずは医療機関や専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

次回予告

次回「今日から始めるすこやか地爪生活」第3回のテーマは「日常で気をつけたい指使い編」です。何気ない日常の動作が爪にダメージを与えてしまっていることをご存知ですか? ちょっとした指使いの意識を変えるだけで、すこやかで自信の持てる地爪に近づくことができますよ。次回もネイルトレーナー塚越さんから学びましょう!

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