爪と食事の関係って?
地爪ケアのプロに学ぶ、すこやかな爪を育む食生活

「爪は健康のバロメーター」とも言われるように、爪と私たちの身体の状態はとても深く関わっています。では健康で丈夫な地爪を目指すには日頃どのような生活を送れば良いのでしょうか? 3回にわたる連載ではすこやかな地爪を育てるための豆知識を日常の生活シーンに合わせてご紹介します。
第1回目は「美しくすこやかな地爪を育てる食事編」。爪に必要な栄養素から爪トラブルと食事の関係、健康な爪を育むための簡単レシピまで、すこやかな爪を育む食生活について「地爪ケアクリニックサロン」ネイルトレーナーの塚越さんにお話を伺います。

塚越 真実さん
監修 塚越 真実さん
(「地爪ケアクリニックサロン」ネイルトレーナー)

「地爪ケアクリニックサロン代々木」ネイルトレーナー。アスリートから趣味でスポーツをされている方、スポーツとは関係なくもともと爪が弱い方などのお悩みに対するアドバイスが得意。爪についての身近な疑問解決をサポートする。

爪は何からできている? 爪と食事の大切な関係

爪と食生活の関わりを理解するために、まずは塚越さんに、爪は一体何からできているのか、その成分や構造について教えていただきました。

爪は硬いので、骨に近いものだと思っている方も多いのですが、実は皮膚の角質が変化したもの。肌や髪の毛と同じ、主に「ケラチン」という繊維状のタンパク質からできています。アミノ酸の一種である「シスチン」が豊富なため皮膚よりも硬くなります。
また、爪は1枚ではなくミルフィーユのように3層が重なってできていて、その間には水分や脂肪が含まれています。この構造のおかげで硬いだけでなく柔軟さも兼ね備えているのです。

弾力のある丈夫な爪をつくるために何より欠かせないのが、「バランスの良い食事」だと塚越さんは言います。

「ケラチンを生成してくれるからという理由で、タンパク質ばかり摂っても爪への効果はあまりありません。タンパク質の働きをサポートしたり、爪のもとをつくったりするビタミンやミネラルなどの栄養素も合わせて摂ることが大切。毎日の食事からさまざまな栄養素が摂取できれば、相乗効果を発揮して健康な爪がつくられていきます」

すこやかな爪に必要な栄養素をチェック!

では具体的に、爪にはどんな栄養素が必要なのでしょうか? 代表的な栄養素とそれが豊富に含まれる食材を教えていただきました。

● タンパク質
爪のもととなる栄養素。不足すると爪がもろくなり、割れ・欠けが生じやすくなります。動物性たんぱく質と植物性タンパク質、それぞれに異なるメリットを備えるため、両方から摂取することが大事です。

【含まれる食材】
動物性タンパク質:肉、魚介、卵、乳製品など
植物性タンパク質:豆腐、納豆など

● 鉄分
爪を強化する栄養素。不足すると爪が薄くなり、爪の真ん中がへこんで先端が反り返る「反り爪」や、爪の先端が薄くはがれる「二枚爪」など、爪の変形が起きやすくなります。

【含まれる食材】
レバー、ほうれん草、貝類など

● 亜鉛
細胞の新陳代謝を活発にし、爪の発育を促します。現代人に不足しやすい栄養素でもあり、意識的に摂取するのがおすすめ。不足すると爪に白い斑点が生じることが多くあります。

【含まれる食材】
牡蠣、ナッツなど

● ビタミンA
皮膚の粘膜を守るとともに、皮膚や爪の乾燥を防ぐ役割をします。また爪の形成にも必要です。不足すると乾燥して割れや欠けが生じやすくなります。

【含まれる食材】
人参、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜(良質な油脂と一緒に摂ると吸収率がアップ!)

● ビタミンB群
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種から成る栄養素。細胞を活性化して爪の発育を促すなど重要な役割を果たします。ビタミンB群は相互に協力し合って効果を発揮するため、バランス良く摂取することが大切。不足すると爪の潤いがなくなり、表面に凸凹が目立つようになります。

【含まれる食材】
レバー、カツオ、マグロ、納豆、玄米、パンなど

● ビタミンC
体内で自ら生成することができないビタミンCは意識的に摂りたい栄養素。また、ビタミンCは、爪を強く丈夫にするコラーゲンの生成に欠かせません。

【含まれる食材】
キウイ、いちご、レモンやみかんといった柑橘類など

栄養素が不足すると爪への影響は?

健康な爪は、表面がなめらかでツヤがあり、薄いピンク色をしています。今、爪にトラブルを抱えている方は、必要な栄養素が十分に摂れていないのかもしれません。症状から、どんな栄養素が不足しているのかをチェックしてみましょう!

栄養素の不足によって起こりやすいトラブル

爪にGood!な食生活のススメ

丈夫な爪をつくり、育み、維持するために必要とされるさまざまな栄養素。たくさんあって覚えるだけでも大変そうですね。「ポイントは、1回の食事にできるだけいろいろな食材を取り入れるようにすること。そうすれば、必要な栄養素を自然とまんべんなく摂ることができますよ」と塚越さん。

たとえば外食をするなら、丼ものやパスタなどの単品料理ではなく、定食をチョイス。主菜の他に副菜の小鉢や味噌汁もついているので、野菜のビタミンや海藻類のミネラルなどを気軽に補えます。コンビニでも、おにぎりにサラダやお惣菜を一品追加するなど一工夫を。おやつもナッツやチーズを選べば、不足しがちなミネラルやタンパク質を補うことができます。

続いて塚越さんに、すこやかな爪のため、この冬の献立に加えたいおすすめの簡単レシピを教えていただきました!

● トースターで簡単!「ほうれん草とベーコンのチーズ焼き」

鉄分やビタミンAが豊富なほうれん草と、動物性タンパク質を一緒にいただける一品。
食べやすくカットしたほうれん草とベーコンを炒めて耐熱容器に盛り、とろけるチーズをのせて、トースターでこんがり焼き目がつくまで焼いたらできあがり。
「ベーコンをツナに変え、マヨネーズをかけて焼くアレンジレシピもおすすめ。ほうれん草とベーコン、牛乳・小麦粉・バターでつくったホワイトソースを入れてグラタン風にすれば、小麦粉のビタミンBも摂れますね」

● 栄養たっぷり旬の味「牡蠣の味噌鍋」

とくに女性は積極的に摂りたい鉄分や亜鉛が豊富な牡蠣が主役の鍋料理。鍋に味噌仕立てのスープと牡蠣を入れ、豆腐や豚肉、ネギ、小松菜などお好みの具材を加えて煮れば完成。
「鍋は手軽なうえに、肉や魚介、大豆製品、野菜など、さまざまな食材を一度にいただけるので栄養バランス的にもおすすめ。身体も温まるので今の時期にぴったりですよ」

毎日の食事を楽しみながら、すこやかな地爪へ

バランスの良い食事を毎食積み重ねていくのがベストですが、時にはファストフードや菓子パンでランチをすませてしまうこともありますよね。

「そんなときは、夕食で野菜を多めに摂るなどして調整すればOKです。忙しい日が続いたりして食事が偏りがちなときは、応急的にサプリメントや野菜ジュースに頼っても問題ありません。あまり神経質にならずに、トータルでバランスをとることを意識していきましょう」と塚越さん。無理をしないことに加え、食事を楽しむことも、健康な食生活を続ける大切なポイントです。

「健康な爪は、健康な身体からつくられます。弱ってしまっている爪には、外側からのケアももちろん大事ですが、まず意識したいのは、日々の食事で爪の土台を整えること。必要な栄養がしっかり行き渡れば、生えてくる爪も強くなっていきます」

すこやかな地爪を育むためには、土台づくりから。これを機会に日頃の食生活を見直し、身体も爪もすこやかな状態を目指しましょう!

次回予告

「今日からはじめるすこやか地爪生活」。続く第2回目は、「爪とメンタルの関係」をテーマにお届けします。「健康のバロメーター」ともいわれる爪は、身体だけでなく、心の不調によって変化することも。メンタルが爪に与える影響って? 爪をすこやかに保つメンタルケアの秘訣は? そんな疑問について引き続き、塚越さんにお話を伺います!

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