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痛みの雑学

その姿勢正しい?正しくない?
心地よく生活するために実践したい姿勢の新習慣

Vol.2その姿勢正しい? 正しくない?心地よく生活するために実践したい姿勢の新習慣

デスクワーク中やスマホを使っているとき、猫背になったり、脚を組んだりしていませんか? 街中でショーウィンドウに映った自分の姿勢の悪さにギョッとしたことはないでしょうか?
そんな“悪姿勢”を続けていると、スタイルが悪く見えるだけでなく、肩こりや腰痛、頭痛に手足のしびれなど、全身の不調を招いてしまうことも……。

そこで今回は、正しい姿勢のあり方と悪い姿勢の改善方法について、仲野整體東京青山院長の仲野孝明先生が伝授。家で簡単にできる姿勢のチェック法や、体に負担をかけない立ち方・座り方、悪姿勢をリセットできる簡単ストレッチなどをお伝えします。

監修:仲野 孝明先生

監修:仲野 孝明先生

姿勢治療家。大正15年創業の仲野整體の四代目。2008年に仲野整體東京青山を開院し、これまでのべ18万人以上の患者を治療する。モットーは「姿勢が変わると、人生が変わる」。姿勢から生産性を高める、100年時代の健康経営法人向けセミナーやラジオ番組などでの啓発活動も話題となり、メディアでも多数紹介され注目されている。著書に『調子いい!がずっとつづくカラダの使い方』『毎日の疲れを一瞬でとる魔法のポーズ』などがある。

悪姿勢がもたらすさまざまな痛みと不調とは?
簡単な動作で自分の姿勢をセルフチェック!

自分の姿勢が良いのか悪いのか、判断するのはなかなか難しいものですよね。
まずは、どこでも簡単にできる2つのやり方で、自分の姿勢をチェックしてみましょう。

壁を使った5点チェック

壁を背にして立ち、かかと、お尻、肩、頭、ふくらはぎを順番につけていきます。また、腰の後ろに手の平を差し入れてみましょう。手の平1枚分くらいのすき間が空くのが理想です。どこか1箇所でも壁につかない場所がある人は姿勢が悪い証拠。

壁を使った5点チェック

猫背や巻き肩の人は肩をつけにくいと感じますし、骨盤に歪みがある人はふくらはぎがつかない場合が多いですね。壁を使った5点チェックは全身を確認できるのが良いところ。普段意識していない自分の立ち姿勢を意識するきっかけにもなりますよ。

腕がスムーズに180度上がるかをチェック

さらに手軽なチェック方法が腕を上げてみること。腕を耳につけるようなイメージで、横から上げ、天井に向かって180度上げてみましょう。その際、腕と指先はまっすぐ伸ばしてください。

腕がスムーズに180度上がるかをチェック

姿勢が悪い人は、この動作をしたときに、腕がスムーズに上がらず途中で詰まるような感覚を覚えるはず。横から写真を撮ってもらうと、腕がきれいに上がっているか、より正確にチェックできます。

そもそも、姿勢が悪いと体にどのような影響がある?

背骨の中には「脊髄神経」と呼ばれる太い神経が通っています。姿勢が悪い方は背骨が歪んだり曲がったりして、この神経が圧迫されている状態。すると腰痛や手足のしびれ、体の痛みや不調が現れます。また、血液循環が滞りがちになることで、消化機能が衰え、腸の働きが悪くなる人も見られます。さらには、イライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりと、姿勢は体だけでなく精神面に影響を及ぼすこともわかっています。

朝の支度や移動時間…日常生活の良い姿勢・悪い姿勢

次に注目するのは、日常生活の中の姿勢。日頃、何気なく行っている動作が悪い姿勢グセをつけてしまっていることがあります。

顔を洗うときは背中を曲げない

洗面台で顔を洗ったり、歯を磨いたりするとき、左の図のように背中を曲げていませんか?

顔を洗うときは背中を曲げない

前かがみになるときは、膝を曲げ、脚の付け根から倒すようにするのが正解。私たちはいろんな場面で背中を曲げる動作をしてしまいがちですが、実は繊細で弱い骨が連なる背骨よりも、単純な作りで頑丈な股関節を上手く使うほうが、体に負担がかかりにくくなります。

移動時間は姿勢をキープするトレーニングを

通勤電車やバスの中では、次のような姿勢になっている人が目立ちます。

  • 壁にもたれている
  • 片足重心になっている
  • かかとの内側、もしくは外側に体重をかけている
  • 脚をクロスしている

このような姿勢で立つと、骨盤に均等に体重がかからないため、関節の歪みを引き起こしてしまうことがあります。移動中は、両足に均等に体重をかけて姿勢を保ち、お腹に力を入れるようにしましょう。耳の後ろを引き上げるような感覚で頭を上げると、首が長くなり、スタイルが良く見えますよ。また、膝はピンと伸ばしたままだと突然の揺れに対処できないので、軽く緩めておくといいですね。重い荷物を持っているときは体幹を鍛えるチャンス。正しい姿勢をキープしつつ体がぐらつかないように意識してみましょう。このように、「移動時間をトレ―ニングに使う」くらいの気持ちでいるのがいいですね!

疲れにくく生産性も上がる!デスクワーク中の正しい姿勢

在宅ワークになり、家の椅子に長時間座りっぱなしでいたら、腰痛や肩こりがひどくなってしまった……という人もいるでしょう。

そもそも人間の体の構造は、座ることが得意ではありません。そこで少しでも楽をしようと、背中を丸めた状態の「猫背」や、椅子の背にもたれかかり寝そべるような状態の「もぐり込み」、片方の脚を反対の脚に乗せた状態の「脚組み」といった悪い姿勢を取りがちに。しかし、これが余計に体を疲れさせることにつながります。

図のように正しい姿勢なら、長時間座っていても体が疲れにくく、仕事の生産性も上がります。

疲れにくく生産性も上がる!デスクワーク中の正しい姿勢

まずはお尻を後ろに引くようにしてイスに座りましょう。骨盤の最下部にあたる「坐骨」が、きちんと座面に当たっている感覚があればOKです。パソコンのモニターは目線のほぼ正面にくるよう、位置の調整を。膝はラクに曲げ、両膝を開いて座っても構いません。ノートパソコンを使用している人は、キーボードとマウスだけ、ワイヤレスのものを使用することをおすすめします。

また、1つ仕事を終えたら背伸びをする、30分経ったら立ち上がってみるといったように、区切りをつけると体も整い気分も変わります。

肩こりや頭痛を引き起こす「スマホ首」に注意!

朝起きてから移動中や仕事中、ベッドの中まで、ついついスマホを手にしてしまうという人は多いはず。その際、ほとんどの人が、下を向いた姿勢でスマホを操作しているのではないでしょうか。

「スマホ首」「ストレートネック」という言葉をよく聞くようになりましたが、どちらも首のS字カーブがなくなり、まっすぐになってしまっている状態のことを指します。
スマホ首になると、後頭部の筋肉が硬くなって、肩こりや頭痛、眼精疲労などが起こりやすくなります。さらに、腰痛や腕の痛み、自律神経にも悪影響を及ぼすなど、放っておくと心身全体の不調につながることもあり注意が必要です。

肩こりや頭痛を引き起こす「スマホ首」に注意!

スマホを操作するときは、画面を目線と同じ位置に上げて、下を向かないようにすることが大切。片手を脇の下に入れて、スマホを持っているほうの腕を支えるか、机やテーブルに肘をついて画面を固定するといいでしょう。

正しい姿勢をつくる簡単ストレッチ

姿勢を良くすると、日常の動作が楽になったり、スタイルが良く見えたり、集中力が上がったりとメリットがたくさんあります。私が診てきた患者さんの中には、今まで全く運動をしたことがなかったのに、姿勢を治し、正しい体の動かし方を覚えたことで、フルマラソンを完走した女性もいます。
自分が生涯付き合う体ですから、できるだけ長い間動かせる状態でいたいですよね。そのためにも正しい姿勢にリセットすることは、とても大切な体のメンテナンスです。

ここでは、正しい姿勢にリセットするための簡単なストレッチを2つご紹介します。どちらも無理をすることなく、気持ち良いと思える範囲で行いましょう。

背伸びストレッチ

背伸びストレッチ

まず、下半身の重心を整えましょう。つま先を正面に向けて立ち、足の間は拳1個分空けます。足指を一度すべて上げたら、重心を左右・前後に傾けて、バランスのいいところでストップ。その後、親指から順番に指を下ろしていきます。

  1. 整ったら、手の平を外側に向けて組み、顔の前から頭の上までゆっくり上げていきましょう。このとき、首も一緒に反らしていくと首が正しい位置にリセットされます。
  2. 手を頭の上まで上げたら、顔を正面に戻し、手の平で天井を押すようにグーッと背伸びを。お腹を細くキープしたまま腕を横から下ろしていくと、姿勢がリセットされます。

股関節ストレッチ

股関節ストレッチ

続いて、デスクワークで凝り固まった股関節を伸ばすストレッチをご紹介。
床に両膝をついた状態から片方の脚を立て、そのまま体重を前にかけて股関節をグーッと伸ばします。余裕があれば、立てた脚と反対の腕を上げてみましょう。腕を遠くに伸ばすようにすると、より股関節に伸びを感じるはず。この姿勢のまま深呼吸しつつ、15秒から30秒程度キープします。

ストレッチをした後、再び姿勢チェックをしてみましょう。多くの人は、頭からふくらはぎまでの5点が壁に近づき、腕も上げやすくなったと感じるようです。
仲野先生いわく「姿勢を正すことは健康の基本」。人間の体は、意識的に動かすことで、どんどん動きやすくなっていくそうです。正しい姿勢を習慣づけられるよう、まずは3週間を目標にストレッチを続け、クセになった悪姿勢を少しずつ改善していきましょう!

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