SPECIAL
ARTICLE特別記事

横浜ビー・コルセアーズ
森井 健太 選手

PROFILE

バスケ新時代の荒波を越えてゆく。
司令塔・森井健太が語る
横浜ビー・コルセアーズの挑戦

TOPICS

群雄割拠の日本男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」で頂点を目指す、横浜ビー・コルセアーズ(以下、ビーコル)。2024-25シーズンからフィンランド代表のヘッドコーチ(以下、HC)を務めるラッシ・トゥオビ氏を新指揮官に迎え、新体制での2シーズン目に大きな期待が寄せられています。司令塔としてチームを支える森井健太選手に、チームの変化や強み、2025-26シーズンへの意気込みを語っていただきました。

大きな変化があったチャレンジの
シーズンを乗り越えて

2025-2026年シーズンを目前に控え、まずは昨季の振り返りをお願いいたします。

2024-25シーズンはまさに“チャレンジのシーズン”でした。HCだけでなく、外国籍選手3名が全員入れ替わったほか、これまでチームを支えてきてくれた勇輝(河村勇輝選手)がNBA挑戦のためにシーズンイン直前で退団するなど大きな変化がありました。前年に比べて日本人選手に大きな入れ替えはなかったものの、一からチームを作り上げていく感覚に近かったと思います。

シーズン序盤はなかなか嚙み合わなかったり、僕も含めてケガ人が出たりなど、苦しい時期がありました。それでも年明け頃にはチームの方向性が定まり、結束力は着実に高まっていきました。シーズン終盤の3月に強豪チーム相手に勝ち星を重ねたり、接戦を演じられたりしたことも、チームにとって大きな自信になったと思います。最終順位は中地区7位に終わりましたが、今のスタイルを今後どこまで積み上げていけるか、この先が楽しみになるような終わり方でした。

現在チームが目指しているプレースタイルを教えてください。

HCが目指す“コレクティブバスケ”は誰か一人に依存するのではなく、全員で走って、ボールを回してチームで戦うバスケットボールです。このスタイルを体現するには、チームの全員が自分の役割を100%こなす意識が必要です。固いディフェンスで相手のミスを誘ったり、ゴールに向かって積極的にドライブしてパスをさばいたり、それぞれの役割をしっかり全うできたときは自ずと良い試合になります。

毎年チームの顔ぶれは変化していますが、チームとしてブレないカルチャーはありますか?

チーム名の「ビー・コルセアーズ(B-CORSAIRS)」には、「海賊(CORSAIRS)」という意味が込められています。 “勝利をもぎ取る”というアグレッシブさは変わらずに持ち続けていますし、若い選手の多いチームならではのハングリーさも他のチームには負けていません。

クラブのロゴマークも海賊がモチーフになっている

チームの雰囲気はいかがですか?

年齢の近い選手が多いので仲が良く、一体感があります。言いたいことを言い合える雰囲気や関係性ができているのがビーコルの良さです。特に、チームのムードメーカーとなっているのが、松崎(裕樹)選手ですね。加入4年目の若くてアグレッシブな選手なんですけど、本当によく喋るし、先輩後輩関係なく、積極的に話しかけている姿をよく見ます。僕自身も4季連続でキャプテンを務め、若い選手が悩んでいるときやチームがうまくいってないときにどう声をかけるか、些細なコミュニケーションを大切にしていますが、年齢や国籍関係なく、コミュニケーションをとれるチームは強くなると思っているので、組織の中で大事な役割を果たしてくれていると思います。

「河村勇輝がいなくなったから弱くなった」とは言われたくない

森井選手はビーコルに入団して6季目となりますが、これまでのチームの変化をどう感じていますか?

僕が最初に来たときは年間60試合のうち20勝もできない状態で、チーム自体もバラバラになっていると感じる瞬間もありました。そこから着実に成長を続けてきて、チャレンジすべきところや目標が徐々に変化してきました。この変化に伴い、自分の役割や求められることも増えているので、その分やりがいも感じています。

チームにとって大きな転機になったと感じるのは、クラブ史上初のチャンピオンシップ(※)に出場を果たした2022-23シーズンです。あの大舞台でプレーできた経験は、チームにとって大きな糧となりました。セミファイナルで敗退してしまった瞬間は、もちろん“負けて悔しい”という気持ちもありましたが、“もうこのチームでプレーできないんだ”と寂しく感じたことを覚えています。それだけ特別な想いを込めたチームでプレーできたことが幸せでしたし、今後はいかにあのときの雰囲気をもう一度作り上げていけるかが鍵になってくると感じます。

※年間王者を決めるレギュラーシーズン後のトーナメント戦。2024-25シーズンでは各地区の1位および2位のクラブと、各地区の上位2クラブを除いた18クラブのうち上位2クラブが出場した

森井選手個人としては、近年どんな変化がありましたか?

個人的には、同じポイントガードのポジションだった勇輝がチームを離れたことで、2024-25シーズンはいつも以上に気合いが入っていました。「勇輝がいなくなったから弱くなった」とは絶対に言われたくないと思っていたんです。

ただシーズン序盤に、初めて1ヶ月も離脱するようなケガをしてしまい、もどかしい時間もありました。でもケガから学ぶ部分も多かったですし、自分の体やプレーを見直すきっかけにもなったと思っています。僕がケガで離脱している間、慣れないポイントガードのポジションで奮闘してくれた選手がいたり、若い選手のステップアップがあったり、さまざまな収穫もありました。

キャプテンとして、新しい指揮官と選手の橋渡しも大変だったのではないでしょうか?

やっぱりキャプテンとしても、チームの司令塔であるポイントガードという自分のポジションとしても、HCの思っていることや、やりたいバスケットボールを1番理解しなきゃいけないと思っていました。HCからはオフシーズンの“夏の宿題”として、「もっと英語をたくさん勉強して」と言われましたけど(笑)。今はチームの英会話レッスンを受けたり、個人的に勉強したりしています。外国籍の選手とも積極的に食事に行っていますね。

コレクティブバスケを磨き、
再びチャンピオンシップ出場へ

2025-2026年シーズンの目標をズバリ教えてください!

やはり目標は、チャンピオンシップ出場。新体制での2シーズン目となるので、結果を出さなければいけないシーズンです。他のチームのレベルがどんどん上がっているなか、どれだけ自分たちのプレースタイルを試合で出せるかが鍵になってくると思います。昨シーズンを終えてからチームで練習を重ね、自分たちのバスケを磨き上げてきたので、自信をもって挑みたいです。

個人としては今シーズンも自分の役割を全うすることを第一に、チームの目標に向かって邁進していきたいと思います。ポイントガードとしても、シーズン6年目のベテランとしても引き続きチームを引っ張っていきたいです。

最後にファンの皆さんや、ビーコルやバスケが気になっているという方へメッセージをお願いします。

ファンの方は、いつも熱い応援をありがとうございます。バスケットボールは選手と観客の距離が近いのが魅力の一つ。コートにも応援の声が良く届きますし、「一緒に戦ってくれている」と感じる瞬間がたくさんあります。今シーズンも一緒に勝利を分かち合えるようチーム一丸となって頑張るので、引き続き応援をよろしくお願いします。

まだバスケットボールを観戦したことがない方も、ぜひ会場に足を運んでみてください。僕たちのホームアリーナの一つである「横浜BUNTAI」は、2024年にリニューアルしたばかりで演出にも力を入れている、素晴らしい雰囲気の会場です。関内駅や伊勢佐木長者町駅からも近くてアクセスしやすいですし、試合観戦後に近隣のお店で食事を楽しむのもおすすめです。より多くの人に足を運んでもらって、バスケットボールの楽しさやビーコルの魅力を感じてもらえたらうれしいです!

森井 健太選手

1995年生まれ、石川県出身。ポジションはポイントカード。学生時代は名門・洛南高校、早稲田大学でプレーし、大学のリーグ戦ではアシスト王に輝いた。大学卒業後は新潟アルビレックスBBへ入団し、プロバスケットボール選手としてのキャリアをスタート。2020-21シーズンに横浜ビー・コルセアーズへ移籍。2022-23シーズンには、「チャンピオンシップ」にクラブ史上初めて出場を果たした。相手の心を折るような強度の高いディフェンスが持ち味。座右の銘は「挑戦する心」。