かゆいぶつぶつは湿疹(皮膚炎)?原因や症状、予防・対処法を解説【医師監修】
皮膚に「かゆいぶつぶつ」ができると、気になって仕事や家事に集中できなかったり、夜眠れなかったりとつらいものです。
一口に「かゆいぶつぶつ」といっても、その原因は乾燥によるものから、アレルギー、あせもなどさまざまです。
この記事では、かゆいぶつぶつ(湿疹)ができるメカニズムや主な原因疾患、市販薬での対処法や予防法について、医師の監修のもと詳しく解説します。

高山 かおる 先生
埼玉県済生会
川口総合病院
皮膚科
主任部長
かゆいぶつぶつの原因は湿疹(皮膚炎)?
湿疹(皮膚炎)とは
「湿疹」とは、皮膚の表面に炎症が起きている状態の総称です。医学的には「皮膚炎」と呼ばれ、両者はまったく同じ意味で使われます。
ただし、一つ注意したい点があります。湿疹のように見えるぶつぶつがあっても、その原因がウイルスや細菌による皮膚のトラブルである場合、それは医学的には湿疹とは区別されます。本来の湿疹は、体の反応として起こる炎症であり、その人の皮膚に生じるトラブルといえます。
見た目が似ているため、「感染症ではないか」と心配して受診される方も少なくありません。しかし診察の結果、湿疹であると説明されることも多く、見た目の印象と実際の診断は異なることがあります。
湿疹(皮膚炎)の症状
湿疹の典型的な症状と、治癒までの経過をご紹介します。
湿疹ができると、まずは以下のような症状が現れます。
- かゆみ、赤み(紅斑)
- ぶつぶつ(丘疹)
- 小さな水ぶくれ(小水疱)
- 膿(膿疱)
その後時間がたつと、次のような状態を経て、治癒に向かいます。
- 皮膚のただれ(びらん)
- かさぶた(痂皮)
- うろこ状の皮膚のはがれ(落屑)
一方で症状が慢性化すると、皮膚が厚く硬くなり(苔癬化)、色素沈着が生じることもあります。
湿疹(皮膚炎)が起こる要因
湿疹は一つの原因だけでなく、「外的要因」と「内的要因」が複雑に絡み合って発症することが多いとされています。代表的なものはそれぞれ以下の通りです。
外的要因(外からの刺激)
- 薬剤、化学物質(薬、洗剤、化粧品など)
- 金属(アクセサリー、メガネ、歯科金属など)
- 食物、植物、生物(花粉、漆、ハウスダスト、ダニなど)
- 物理的刺激(日光、温熱、寒冷、乾燥、摩擦など)
内的要因(体質など)
- 皮膚のバリア機能の低下
- 皮脂や汗の分泌異常
- アトピー素因
- 健康状態(内臓疾患、ストレス、疲労、寝不足など)
これらの要因が重なった状態で、さらに外部からの刺激やアレルギー反応が加わると、炎症を引き起こして、湿疹が生じることがあります。
かゆいぶつぶつ(湿疹)を 伴う皮膚疾患
かゆいぶつぶつ(湿疹)ができる皮膚疾患にはさまざまなものがあります。ここでは、疾患ごとの特徴について解説していきます。
蕁麻疹

皮膚の一部が突然赤く盛り上がり(膨疹)、強いかゆみを伴います。
数時間から長くても1日以内に跡形もなく消えるのが特徴です。食べ物や薬、物理的刺激などが原因の場合もありますが、原因が特定できない特発性のケースが多く見られます。
アトピー性皮膚炎

かゆみのある湿疹が、良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性的な疾患です。
患者さんの多くは「アトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)」を持っています。皮膚のバリア機能が低下しているため、外部からの刺激に弱く、乾燥しやすいのが特徴です。顔、首、ひじやひざの裏などに左右対称に現れる傾向があります。
接触皮膚炎

いわゆる「かぶれ」のことです。特定の物質(化粧品や毛染め、金属など)が皮膚に触れることで炎症が起きます。
刺激の強い物質に触れて起こる「刺激性接触皮膚炎」と、アレルギー反応によって起こる「アレルギー性接触皮膚炎」があります。原因物質が触れた部分に赤み、かゆみ、ぶつぶつ、水ぶくれなどが現れます。
脂漏性皮膚炎

皮脂の分泌が多い頭皮、顔(鼻の周りや眉間)、脇の下などに起こりやすい皮膚炎です。
赤みとともに、黄色っぽい脂ぎったフケのようなもの(鱗屑)が付着するのが特徴です。皮膚に常在するカビの一種(マラセチア)が関与していると考えられています。
皮脂欠乏性湿疹(乾燥湿疹)

皮膚の表面の脂(皮脂)が減少し、乾燥した状態を「皮脂欠乏症」といいます。これが悪化し、湿疹になったものです。
カサカサしてひび割れたり(亀裂)、赤みやかゆみを伴ったりします。特に冬場、高齢者のすね(下腿)や背中によく見られます。
皮膚そう痒症

発疹などの目立った異常がないにもかかわらず、皮膚にかゆみが生じる疾患です。
かゆくて掻いてしまうことで、二次的にひっかき傷やぶつぶつ(痒疹)ができてしまうケースも見られます。原因としては、加齢による乾燥や、内臓の病気(肝臓や腎臓の病気、糖尿病など)、薬の副作用などが挙げられます。
日光過敏症(光線過敏症)

通常の紫外線量では反応しない人でも、日光を浴びた部分に赤み、かゆみ、ぶつぶつなどが現れる症状です。
特定の飲み薬や貼り薬を使用している際や、特定の植物・食品に触れた後に日光を浴びることで発症することがあります(光接触皮膚炎など)。
汗疱(異汗性湿疹)

手のひらや指の側面、足の裏などに、小さな水ぶくれ(小水疱)がたくさんできる病気です。強いかゆみを伴うことも少なくありません。
汗をかきやすい季節に多く見られますが、汗の出口(汗管)が詰まるわけではなく、アレルギーなどが関与している場合もあります。
汗疹

大量に汗をかいたときに、汗の出口(汗管)が詰まり、皮膚の中に汗がたまって炎症を起こすものです。
赤くてかゆいぶつぶつができる「紅色汗疹」が一般的です。首の周り、体幹部(お腹・背中)、ひじ、ひざの裏など、汗がたまりやすい部分にできやすいのが特徴です。
かゆいぶつぶつ(湿疹)の対処・予防法
かゆいところは掻かずに冷やす
かゆいからといって掻きむしると、皮膚のバリア機能が壊れ、さらに炎症が悪化してかゆみが増す悪循環に陥ります。
かゆみが強いときは、保冷剤をタオルで包んだものや冷たいタオルなどで患部を冷やすと神経の興奮が鎮まり、かゆみが和らぐことがあります。
市販薬を使用する
炎症とかゆみを抑えるために、市販の皮膚治療薬を活用するのも一つの方法です。赤みや腫れなどの炎症を伴う湿疹には、炎症を鎮める効果の高い「ステロイド外用薬」が有効です。
ステロイド外用薬とは
副腎皮質ホルモンを化学的に合成した薬で、強い抗炎症作用があります。多くの皮膚疾患に使用されています。副腎皮質ホルモンとは、腎臓の上部にある副腎の皮質(外側にある層)で作られるホルモンのことで、ステロイドホルモンとも呼ばれます。
「ステロイド」と聞くと、骨粗鬆症や糖尿病などの副作用を心配する方もいるかもしれませんが、塗り薬であればこうした副作用のリスクは非常に低いとされています。
ただし、ステロイド外用薬は症状や使う部位に合わせて適切な強さを選ぶことが大切です。購入する際は、薬剤師や登録販売者に症状や使いたい部位を相談しましょう。また、使用前には必ず説明書を読み、正しい使い方を理解してから使うことが重要です。
なお、市販薬を使っても症状が改善しない場合は、早めに皮膚科専門医を受診してください。
こまめに保湿する
皮膚が乾燥するとバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなります。
入浴後や手洗い後など、こまめに保湿剤(ワセリン、尿素配合クリーム、ヘパリン類似物質など)を塗り、皮膚の潤いを保ちましょう。
ただし、ジュクジュクしている湿疹には自己判断で保湿剤を塗るのではなく、適切な治療薬の使用や受診を優先しましょう。
かゆいぶつぶつ(湿疹)の症状が長引く場合は、
医療機関を受診しよう
市販薬を数日間使用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合、患部が広範囲に及ぶ場合は、自己判断で使用を続けずに皮膚科を受診しましょう。
また、発熱や全身のだるさなど、皮膚以外の症状を伴う場合も、内臓疾患などが隠れている可能性があるため早めの受診が必要です。
原因を正しく突き止め、適切な治療を受けることが、早くきれいに治すための近道です。
- 参考文献
-
病気がみえる vol.14 皮膚科第1版: メディックメディア. 2020
皮膚瘙痒症診療ガイドライン 2020
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021
接触皮膚炎ガイドライン2020年度版
椛島 健司: 人体最強の臓器 皮膚のふしぎ 最新科学でわかった万能性: 講談社. 2023

