深爪・巻き爪の原因は?正しい応急処置と予防法を皮膚科医がアドバイス!

#03深爪・巻き爪/足の爪のトラブル予防

仕事や家事に追われる毎日の中で、爪のお手入れは後回しになりがち。ふと気がつくと、爪先が割れてしまったり二枚爪になってしまったり……。こんな爪トラブルを仕方がないとあきらめていませんか?
爪は、「健康のバロメーター」といわれるパーツ。症状を見逃さず早めに対処することで、爪も身体もすこやかに保つことができます。
そこで「爪トラブルレスキュー」では、よくある爪のトラブルを3回に分けてピックアップ。最終回となる第3回は、誰もが一度は経験したことのある「深爪」と、とくに足の爪に起こりがちな「巻き爪」について解説します。

平田 雅子 先生
監修 平田 雅子 先生 (皮膚科医)

医学博士・皮膚科認定専門医・「私のクリニック目白」院長。女性専門医療(皮膚科・婦人科・美容皮膚科・内科・救急医療)に携わり、2003年、「日本中の女性を健康で元気にしたい」という思いから、女性専門外来「私のクリニック目白」を開院。皮膚トラブルをはじめとした女性の体のさまざまな不調の治療にあたっている。

爪トラブル1.「深爪」その原因と症状

爪トラブル1.「深爪」その原因と症状

● 「深爪」の原因

深爪の主な原因は、爪先の白い部分が心理的に気になって自分で切り取ってしまうこと、また、誤って切り過ぎてしまうことです。ほかにも爪の乾燥などでもろくなって折れてしまったり、噛んでむしり取ってしまったりということもあります。

普段意識することは少ないかもしれませんが、爪は、日常の動作にも大きな役割を果たしています。爪がなければ指先に力が入らず、物がうまくつかめなかったり、歩きにくくなったり、パフォーマンスにさまざまな影響が出てきます。
たかが深爪と思わずに、早めに対処し、適度な長さを保てるようにしましょう。

● 「深爪」の症状

深爪とは、爪床(そうしょう)と呼ばれる爪の下のピンク色の皮膚が見えるまで、爪を切ってしまった状態のことです。爪床には神経や毛細血管が多く集まっているため、むき出しになってしまうと皮膚が傷つきやすく、そこから菌が入って痛みや化膿を引き起こす恐れがあります。また、長い間深爪が続くと、爪が変形し、小さくなってしまうことも。
足の深爪の場合、爪が周りの皮膚に食い込んでしまう陥入爪(かんにゅうそう)や、巻き爪につながることがよくあります。

「深爪」の応急処置

深爪で指先に傷ができてしまった場合は、患部を流水で洗った後、軟膏などを塗っておくようにします。消毒のし過ぎは爪の乾燥が進行するのでNG。指先はよく動かすので、ガーゼなどを貼るよりも絆創膏や医療用テープで保護するのがおすすめです。
また痛みがあり、指先が熱をもっているようなときは、指の腹に保冷剤をあてて冷やすと炎症が和らぎます。大きく腫れていたり、膿がたまっていたりする場合には病院で診てもらうようにしましょう。
長い間、深爪が続いている人は、爪そのものが弱っている可能性もあります。キューティクルオイルなどで爪に栄養を与えたり、保湿ケアをしたりしながら適切な長さまで地道に伸ばしていくようにしましょう。

爪トラブル2.「巻き爪」その原因と症状

爪トラブル2.「巻き爪」その原因と症状

● 「巻き爪」の原因

爪はそもそも内側に巻いて伸びる性質をもっています。そのため、巻き爪はさまざまな原因から起こりやすく、10人に1人が悩まされているとも言われています。ほとんどの場合が足の爪に起こり、手の爪には滅多に起こりません。
その原因の一つが深爪です。歩くときなど足の指に力が加わった際、力を受けて爪先の皮膚が盛り上がります。そうすると爪が真っ直ぐ伸びるのを妨げてしまい、厚みが増したり、両端が湾曲したりしてくることがあります。また、外反母趾の人や、合わない靴を履いている人も、爪が靴やほかの指から圧迫されることで変形し、巻き爪になりやすいようです。

● 「巻き爪」の症状

巻き爪は、爪の端が内側に巻き込んだ状態になること。巻き爪と併発しやすいのが、陥入爪(かんにゅうそう)です。巻いた爪の角が皮膚に食い込んだり刺さったりして炎症が起こります。痛みがひどくなると、歩行が困難になったり、痛みをかばおうとして姿勢が悪くなり、膝・腰にも影響が出たりすることがあります。
身体の不調の原因が巻き爪にあったということは少なくありません。爪は全身とつながっている大切な部位だということを覚えておきましょう。

「巻き爪」の応急処置

巻き爪になったときの応急処置として、爪と皮膚の間に小さくカットしたコットンをはさむ「コットンパッキング」があります。化粧用のコットンを小さくカットし、ピンセットなどを使って爪と皮膚の間に挟み込みます。コットンが大きすぎるとかえって痛みが出る場合もあるので、様子を見ながら調整します。

「巻き爪」の応急処置

ほかには、医療用テープを使った方法も。皮膚に食い込んでいる爪の端を広げるように強く引っ張りながら、テーピングします。
専門の病院では重度の巻き爪の治療として、クリップやワイヤーを用いることもあります。数ヶ月間器具を装着することで爪を広げて矯正していきます。

ただし、せっかくこのような処置をしても、きつい靴を履いて爪を圧迫していては意味がありません。まずは自分のサイズに合った靴を履くようにし、爪を切るときは、伸びた爪の先端を平らにした「スクエアオフ」の形に整えるのがおすすめ。爪の端が皮膚に食い込みづらく巻き爪や陥入爪を予防することができます。

もう痛みに悩まない!
足の爪のトラブル予防策

外から刺激を受けることが多いのに、ケアをおろそかにしがちな足の爪は、トラブルの起こりやすい場所です。先にご紹介した深爪や巻き爪のほかにも、爪が分厚くなったり変形したり、さらには水虫などの病気にも注意が必要です。足の爪のトラブルに悩まされないためにも、普段から出来る予防策をお伝えします。

・ フットケアを習慣化

足を不潔にしておくと、傷口から感染などを引き起こしやすくなってしまいます。健康な足の爪をキープするには、清潔に保つことが第一。入浴時には足の爪や指の間をしっかり洗うようにしてください。ただし、スポンジなどで過度にゴシゴシこするのは皮膚を傷つける可能性があるためおすすめしません。洗った後は爪と皮膚の間に水分が残らないよう、タオルでしっかりと拭き取り、クリームやオイルで保湿を。
このように、毎日足をケアすることで、ちょっとした異変にも気がつくようになり、早めの対処ができるようになります。

1. フットケアを習慣化

・ 自分に合った靴を履く

サイズの合わない靴は、爪にダメージを与え、巻き爪や変形などの原因につながります。
できればプロに足のサイズを計測してもらい、大きすぎず小さすぎないものを選ぶようにするのがいいでしょう。かかとや足の甲にきちんとフィットしていることが重要です。
よく山登りや運動会、スポーツの試合の前などに張り切って「爪を切ろう!」という人がいますが、これはNG。切った直後は爪が反るため、爪と皮膚の隙間が空いて違和感が出たり、深爪から痛みが生じたりすることも。大切な予定のあるときは、2〜3日前に爪切りを済ませておくようにしましょう。

足の爪のトラブルから歩行が困難になったり、膝痛や腰痛を起こしたり、思わぬ健康被害につながることも。これからは手の爪だけではなく、足の爪の状態にも気をくばりたいですね。正しい処置と日々のセルフケアで爪先から真の健康を手に入れてください!

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