爪の横すじ・縦すじ、ささくれの原因は?
皮膚科医が教える正しい対処法と予防策

#02 手の爪にできる縦すじ・横すじ/ささくれ

仕事や家事に追われる毎日の中で、爪のお手入れは後回しになりがち。ふと気がつくと、爪先が割れてしまったり二枚爪になってしまったり……。こんな爪トラブルを仕方がないとあきらめていませんか?
爪は、「健康のバロメーター」といわれるパーツ。症状を見逃さず早めに対処することで、爪も身体もすこやかに保つことができます。
そこで「爪トラブルレスキュー」では、よくある爪のトラブルを3回に分けてピックアップ。第2回は、乾燥が気になるこれからのシーズンに起こりやすくなる「爪の縦すじ・横すじ」「ささくれ」について解説します。

平田 雅子 先生
監修 平田 雅子 先生 (皮膚科医)

医学博士・皮膚科認定専門医・「私のクリニック目白」院長。女性専門医療(皮膚科・婦人科・美容皮膚科・内科・救急医療)に携わり、2003年、「日本中の女性を健康で元気にしたい」という思いから、女性専門外来「私のクリニック目白」を開院。皮膚トラブルをはじめとした女性の体のさまざまな不調の治療にあたっている。

爪トラブル1. 「爪の縦すじ・
横すじ」その原因と症状

爪トラブル1. 「爪の縦すじ・横すじ」その原因と症状

● 「爪の縦すじ・横すじ」の原因

さまざまな爪のトラブルを引き起こす根本的な原因については前回お伝えしました。その中でも、爪に縦すじができる主な原因となるのが「加齢」と「乾燥」です。
爪の縦すじが目立ち始めるのは40代の頃から。お肌のシワやたるみと同様に、爪にもシワのように筋ができます。
若いうちから爪の縦すじが目立つ場合は、乾燥が原因ということがほとんど。爪もお肌と同様、水分と油分によって保護されています。それらが不足することで表面の筋や線が目立つようになります。

一方、爪の横すじは、体調が大きく関係しています。心身に大きな負荷がかかったり、新しい爪を作る爪母(そうぼ)のあたりに外傷を受けたりすると、一時的に爪の発育がスムーズにいかなくなり、数ヶ月後にその部分がへこみとして現れるのです。

● 「爪の縦すじ・横すじ」の症状

健康な爪の表面はなめらかでツヤがありますが、縦すじのできた爪は、触るとでこぼこしています。横すじの場合は、爪に溝ができたり段のようになったりして目立つことも。見た目は多少気になるものの、痛みや変色などはないため、そのまま放置してしまう人も多いようです。しかし、爪の横すじは過去の不調のしるしです。何本もの深い筋や、全部の指に筋が入っている状態が続く場合は、現在も不調が続いている可能性もあるので病院で診てもらうようにしましょう。

「爪の縦すじ・横すじ」の
応急処置

まずは保湿を心がけるようにしましょう。ネイル用のエッセンスやオイルなどで、爪にうるおいと栄養を与えることで、爪を若返らせることができます。お風呂上がりなど、スキンケアのついでに、手に余った乳液やクリームをそのまま指先にすり込むだけでも十分効果はあります。

そして、日頃から爪を乾燥させないよう心がけてください。とくにお湯を使うことが多くなる冬場は爪の乾燥も進行しがち。手を洗うときはぬるま湯で、洗いものなど水仕事をするときにはゴム手袋をつけるようにしましょう。お湯は皮脂を溶かすため、お風呂では指先をお湯に浸けないよう湯船から出しておくのがおすすめです。ジェルネイルやマニキュア、ネイルリムーバーを何度も繰り返すことも避けたほうがいいでしょう。また、やすりや爪磨きを使い過ぎると爪を薄くしてしまう恐れがあります。気になる部分だけサッとかける程度にし、ベースコートやトップコートで補強をしておくのがおすすめです。

爪トラブル2. 「ささくれ」
その原因と症状

爪トラブル2. 「ささくれ」その原因と症状

● 「ささくれ」の原因

ささくれの主な原因は爪の根元や周囲の皮膚、甘皮の乾燥です。爪が伸びるとき、爪の根元や甘皮の皮膚が引っ張られます。その力に耐えられなくなると、表面の皮膚が引き裂かれ、皮がむけてささくれが起こります。水分を保った健康な皮膚は弾力があるため、爪の成長で引っ張られても皮膚が無理やり引き裂かれることはありません。しかし、乾燥した皮膚は伸びにくく、パチンとはがれやすくなってしまうのです。

また、乾燥によってバリア機能の弱った爪や爪周辺の皮膚にシャンプーや洗剤などの刺激が加わることもささくれを引き起こしやすくなる原因に。指先の皮膚が荒れてガサガサになり、ささくれもできやすい状態になってしまいます。

● 「ささくれ」の症状

爪の根元や周囲の皮膚が細かく裂けてめくれている状態がささくれです。また、乾燥した爪の一部が横に飛び出した状態になることもあります。見た目が気になるだけでなく、ジンジンとした痛みがあり、洗剤などがしみてつらい思いをしたことがある人も多いのではないでしょうか。傷口にばい菌が入ると、指全体が腫れ上がったり化膿して膿が出たりすることも。小さな傷とはいえ注意が必要です。

「ささくれ」の応急処置

めくれた皮膚や飛び出した爪が気になるからと、手で無理やり引っ張るのは絶対にやめましょう。傷口が広がり、ばい菌が入る原因になります。また、セーターやストッキングが引っかかり、無意識にささくれを引っ張ることもあるため注意を。こうしたことを防ぐためにも、早めの応急処置が肝心です。
ささくれができたら、甘皮のケアなどに使うニッパーや先の細いハサミ(眉用のものなど)でめくれた皮膚の根元ギリギリをカットします。その後、爪の根元や指先全体にオイルやクリームを塗って保湿し、痛みが取れるまでは医療用テープなどで保護するようにしてください。
また、ささくれができている間は、刺激を与えないのが一番。できればネイルやネイルリムーバーなどは避けるか、テープで傷口を保護した上で使用するのがいいでしょう。

「ささくれ」の応急処置

また、日頃からこまめな爪先の保湿を心がけ、爪の根元周辺の皮膚をやわらかくしておくこと、甘皮のケアをしておくこともささくれの防止につながります。

爪のトラブル予防に! 手先の血行を良くする指ストレッチ

冬場はとくに手先などの末端が冷えがち。血行が悪くなると爪の根元に栄養や水分が届きにくくなり、さまざまな爪トラブルやささくれを招きやすくなります。そこでおすすめしたいのが手先の血行を良くする指のストレッチ。習慣づけることですこやかな爪を保てるようになります。
冷えが気になったときはもちろん、通勤時間や仕事の合間、お風呂上がりなどに2〜3分行うだけでOK! ぜひ今日から始めてみましょう。

1. 両手を広げ指と指を合わせて、1、2秒グーッと押し合う

1. 両手を広げ指と指を合わせて、1、2秒グーッと押し合う

2.指を一本ずつ反対の手で手前に引きながら手の甲側に向かって反らせる

2.指を一本ずつ反対の手で手前に引きながら手の甲側に向かって反らせる

3.指の一本一本を、反対の手で掴むようにして根元から爪先までマッサージする

3.指の一本一本を、反対の手で掴むようにして根元から爪先までマッサージする

寒くなり、水仕事や空気の乾燥がつらい季節。お肌や髪の毛と同じように爪にも入念なケアをする必要があります。「爪の縦すじやささくれくらい平気と放っておかず、きちんと対処することが大切です」と平田先生。日々の習慣や意識によって爪のコンディションはグンと良くなるはず。あきらめずにケアしていきましょう。

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